尖閣国有化7年/共生の道を真剣に探れ

 2012年9月11日の尖閣諸島国有化から7年。領有権を主張する中国では国有化後に激しい反日デモが起き、日中関係は著しく悪化した。17年、安倍晋三首相は中国の習近平国家主席が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」を条件付きで支持し、両国関係は経済をてこに改善に向かう。

 来年春には習氏が初めて国賓として来日する予定だ。隣国であり、新興大国として世界で影響力を増す中国と平和と友好を維持、強化していくことは重要だ。

 ただ中国の強引な海洋進出や非民主的な政治体制など対立する安全保障や政治、人権問題では率直な対話を進めたい。米中間の覇権争いが激化する中、日中両国は相互信頼を深め、新時代に向けて共生の道を真剣に探るべきだ。

 国有化以降、中国の公船は尖閣周辺で航行を繰り返し、現在も月3回程度の領海侵入を行う。日本は侵入の停止を求めてきたが、中国は「法に基づく国家主権の行使」(国防白書)と主張する。

 また、中国は周辺諸国と領有権を争う南シナ海でも「必要な防衛力の配備」(同)として人工島の軍事拠点化を推進する。米国は「航行の自由」作戦として付近に海軍艦艇を派遣。安倍政権は「自由で開かれたインド太平洋」を提唱し、国際法の原則に基づく海洋秩序の維持を訴える。

 日中両政府は昨年6月、偶発的な軍事衝突を避けるため防衛当局間の相互通報体制「海空連絡メカニズム」の運用を始めた。遅れているホットライン開設も急ぐべきだ。

 海洋対立を協議するため安保対話の枠組みの強化が急務だ。現在は外交・防衛当局の次官級対話だが、日本は中国に対し「日中外務・防衛閣僚協議(2プラス2)」の創設を提案した。早期の格上げを期待したい。

 習政権は国内で政治的引き締めを強めており、人権状況が改善する兆しはない。7月、日英など22カ国は中国新疆ウイグル自治区でのウイグル族の大量拘束に懸念を示す書簡を国連人権理事会に提出した。中国では15年以降、スパイ行為などに問われた日本人9人が起訴され、今年5月までに8人が実刑判決を受けた。非民主的な制度の中で、被告への人権侵害や冤罪(えんざい)が懸念される。

 日本は尖閣国有化後に中国が凍結した人権対話の再開を求めている。ぜひ対話を再開し、中国に人権の尊重と民主化を働き掛けていきたい。

 8月、中国外務省の華春瑩報道局長は日米英などの主要メディアの編集責任者に書簡を送り、香港デモについて、デモ隊支持に偏らず「中立、公正な報道」を要求した。

 近年、中国の当局者が外国メディアに「反中国的な報道」をしないよう圧力をかけるケースが目立つ。

 中国は習近平思想に基づき、「今世紀半ばまでの近代化強国の建設」と「世界一流の軍隊づくり」を目指す。米国との長期的な対立は必至だ。米国と同盟関係を持つ日本は戦略的なバランス外交を迫られている。

 習氏来日に向け、日中共同声明などに続く「第5の文書」の策定が取り沙汰される。文書をまとめるなら、新時代に国際環境やパワーバランスがいかに変わっても、永続的な友好と武力不使用、反覇権を堅持すると改めて誓うべきだ。

2019年9月16日 無断転載禁止