きらめく星 落ちるワシ、飛ぶワシ

「落ちるワシ」と「飛ぶワシ」の星の並び=8月1日、三瓶自然館サヒメルで撮影(さつえい)
翼閉じた姿と翼広げた姿

 こと座(ざ)のベガとわし座のアルタイルは、織(お)り姫(ひめ)星(ぼし)と彦(ひこ)星(ぼし)としても知られています。七夕(たなばた)をとっくに過(す)ぎた今でも夜空に出ています。それどころか、この二つにはくちょう座のデネブを加えた「夏の大(だい)三(さん)角(かく)」は、夜のはじめごろ頭の真上で堂(どう)々(どう)と輝(かがや)いています。

 天(あま)の川(がわ)をはさんで見える七夕の二つの星は、昔のアラビアでも一(いっ)対(つい)の星とされていました。そこでは2羽のワシに見立てられました。

 ベガの元の名前は、アル・ナスル・アル・ワーキといい、アラビア語で「落ちるワシ」を意味します。ベガの近くに二つの星があり、ベガとつなぐとV字形が描(えが)けます。これが翼(つばさ)を閉(と)じたワシに見られました。空中で羽をたたんで急降(こう)下(か)するワシということでしょう。

 一方、アルタイルはもともとアル・ナスル・アル・タイルといいました。こちらは「飛ぶワシ」という意味です。アルタイルの両脇(わき)に一つずつ星があり、アルタイルと一直線に並(なら)んでいます。これが翼を広げて飛ぶワシの姿(すがた)と考えられました。

 この星の並びは、はるか昔、今のイラクあたりでもワシと捉(とら)えられていました。それが古代ギリシャに伝わって、わし座になったようです。わし座はたいへん古い歴(れき)史(し)を持つ星座なのです。なお、ギリシャでもはじめは、「飛ぶワシ」の形がわし座そのものでしたが、次(し)第(だい)に範(はん)囲(い)が広がり大きな星座になりました。

 アルタイルの両脇の星は、わりと明るいので見つけやすいでしょう。一方、ベガの近くの二つの星は、街明かりのある空では見にくいかもしれません。そんなときは双眼鏡(そうがんきょう)を使って、2羽のワシを見比(くら)べてみてください。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2019年9月18日 無断転載禁止

こども新聞