北朝鮮のミサイル発射/日米韓の連携再構築を

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。飛距離は約450キロで島根県・隠岐諸島沖合約350キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる。島根、鳥取両県は緊急に連絡会議を開催。船舶などに被害がないことを確認した。

 北朝鮮は今年5月以降、ミサイルの発射を繰り返しており、今回が11回目になる。EEZ内への落下が確認されれば2017年11月以来の事態だ。韓国軍は、事前に発射兆候をつかむのが難しい潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性もあるとみて分析を進めているという。

 北朝鮮は5日に米国と非核化を巡る実務協議を行うとしていた。協議を前に米側の反応を探る狙いだったのだろうか。北朝鮮の意図を詳細に分析する必要がある。

 一方、日本側の防衛態勢の現状に問題点はないか。米国のトランプ大統領は、米本土に届かない短距離弾道ミサイルは事実上、容認する姿勢を示している。これが北朝鮮にミサイル発射を許しているのではないか。

 日韓関係の悪化で、韓国は8月に日韓間の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告、協定は11月に終了する。北朝鮮の相次ぐミサイル発射は、日米韓3国の連携のほころびを突いたものだろう。日米韓の連携を再構築し、態勢強化を急ぐべきだ。

 ミサイル発射を受けて安倍晋三首相は「国連安全保障理事会決議違反であり、厳重に抗議し、強く非難する」と表明。国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開き、中国・北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

 ただ、最近の日本政府の弾道ミサイル対応には疑問も残る。防衛省が先日公表した19年版の「防衛白書」は、今年7月発射のミサイルの飛距離を600キロ程度と推定している。発射場所によっては、日本本土に届く可能性もある。

 白書はさらに「北朝鮮が核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられる」と初めて明記。最近の新型ミサイルは、迎撃が難しい「低空で飛翔(ひしょう)し、変則的な軌道」で飛行した可能性があるとも分析している。

 分析の通りならミサイルの脅威はこの間、高まり続けていることになる。だが7月のミサイルに対しても、EEZ内に落下しなかったためか、安倍首相は「わが国の安全保障に影響を与える事態ではない」とゴルフを続けていた。

 白書は、各国との防衛交流をまとめた「安全保障協力」の章の記述で、最近の日韓対立を受け韓国の重要度を引き下げた。しかし5月以降の新型ミサイルに関して、日本政府は複数回、発射後の軌道を探知できなかったと指摘されている。GSOMIAはまだ有効なのにもかかわらずだ。

 韓国との安保協力の重要度を引き下げるのではなく、その重要性を再確認し、GSOMIA破棄の撤回を働き掛ける努力を続けるべきだろう。

 トランプ氏は8月の日米首脳会談で、北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射について「気に入らないが、(米朝首脳間の)合意違反ではない」と述べた。安倍首相は「米国と緊密に連携していく」と繰り返すが、認識に差がないか。

 今後の米朝実務協議などで、北朝鮮に一切のミサイル発射の中止を迫るよう米国に強く求める必要がある。

2019年10月3日 無断転載禁止