関電金品受領/「闇」解明が欠かせない

 関西電力の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、関電は再び記者会見し、昨年9月にまとめた社内調査委員会の報告書をようやく公表した。

 総額3億1845万円相当が渡り、原子力事業担当の役員、元役員の2人の受領は各1億円を超えた。現金、スーツ仕立て券、商品券、金貨、小判形の金…。「社会的儀礼の範囲を超える」(報告書)金品を、日常的に受け取っていた実態が浮かび上がる。

 原発マネーを巡る闇、そして公益事業を担うという自覚の欠落に驚愕するほかない。 報告書は、関電側が元助役を高浜町の「有力者」と認識し、機嫌を損ねると発電所運営に支障を及ぼす行動に出るリスクがあったと指摘。返却しようとしても、どう喝されて困難だったと「特異性」を強調する。ならば、なぜ個人の管理に委ね、組織として対応しなかったのか、関電のコンプライアンス意識の希薄さに、あきれるばかりだ。

 元助役と関係が深い建設会社への国税当局の査察をきっかけに昨年7月、社内に調査委を設置した以降の対応も信じ難い。調査委報告書や社内処分を1年余りも公表しなかった上、報道で発覚した直後の今年9月27日の記者会見でも隠し、金品を受領した幹部の氏名や金額など詳細を明かさなかった。

 巨額の原発マネーが、地域の行政や経済をどれほどゆがめてきたかを示す今回の事態に対する関電の認識の甘さを物語る。原発事業を展開する資格はないと言われても仕方ないだろう。

 金品受領と放置、隠蔽という企業風土を許していただけでなく、自らも金品を受け取っていた八木誠会長、岩根茂樹社長ら経営陣の責任は極めて重大だ。「原因究明と再発防止に全力を尽くすのが最大の責務」(八木氏)と辞任を否定したが、当事者に調査や再発防止の指揮を任せるわけにはいかない。

 解明しなければならない点は、これだけ多額の金品がどこから捻出されたかだ。査察を受けた建設会社に対し、関電は2013年度から6年間で64億7千万円の原発関連工事を発注している。元助役には工事の情報を提供していたことも認めており、いくら「発注工事は適正」「便宜供与はない」と強調しても、この会社から元助役を経由して関電に渡った、つまり関電の金が還流した疑念は、むしろ強まったのではないか。

 消費者の納めた電気料金の一部が発注工事を通じて関電幹部に流れていたことになれば背信・背任行為といえる。もはや関電による自浄作用は期待できない。原発不信を招いた以上、国策として再稼働を推進する政府も疑惑の解明に大きな責任を負っている。野党は臨時国会で関電役員の参考人招致を要求する方針で一致しており、国会も積極的に乗り出すべきだ。

 東京電力福島第1原発の事故を受け、全国の原発は停止したが、既に9基が再稼働した。そのうち関電のものは高浜原発3、4号機を含め4基だ。停止から再稼働に至った時期にも、金品の授受があったことも着目しなければならない。

 原発立地自治体と電力会社の公明正大で健全な緊張関係を取り戻すためにも、政府と国会による総点検が必要だ。

2019年10月4日 無断転載禁止