闘病父子の絆、書で表現 山陰独立書展で会員賞

第49回山陰独立書展会員賞の受賞作品「父さんへ」と大森節さん(本人提供)
 島根県益田市乙吉町の大森節さん(66)の書作品「父さんへ」が、9月に松江市であった第49回山陰独立書展(島根県独立書人団主催)で会員賞に選ばれた。脳出血で倒れリハビリに励む兄と、その様子を見つめたおいの絆から生まれた作品。「親子の思いを形にして残さねばとの一心で書いた」と振り返り、受賞を喜んでいる。

 大森さんの兄菅原均さん(70)は岩手県大船渡市の公民館で東日本大震災の被災住民の受け入れなどに当たった元館長。毎月発行する公民館便りで、自身の俳句や川柳、短歌を掲載していた。3月に退職し、住民から感謝状を受けたあいさつの最中に倒れた。左半身まひのリハビリを続け、現在は草取りや畑仕事ができるまでに回復しているという。

 会員賞4点の一つに選ばれた大森さんの作品は、縦2.4メートル、横60センチの一枚に、菅原さんが入院中に詠んだ「病室のスマホ頼みの花見かな」という句と共に、岩手県大船渡市で音楽活動している菅原さんの長男盾(じゅん)さんがリハビリ中の父のために作った曲「父さんへ」の歌詞を並べて書き上げた。

 その歌詞は「その左手の その左足の代わりになろうってボクは言えなくなった ひとりで立つこと 生きるってこと 背中で見せてくれたから」。大森さんはひと目見て心を動かされ、「今の思いを書き留めておかねば」と筆を執ったという。

 「書はその時々の心情を表す日記のようなもの」と大森さん。30年来の書の師匠で、書道教室主宰の寺井史明(しめい)さん(64)=益田市久城町=は「発想力、表現力がたけている。(『父さんへ』は)作品として祈りがあった」と評価した。

2019年10月7日 無断転載禁止

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