同性婚と国会/法整備へ具体的議論を

 同性婚を法律上認めるよう求める声が高まりを見せている。今年2月に8都道府県の同性カップル計13組が、同性同士の結婚を認めないのは憲法が保障する婚姻の自由を侵害し法の下の平等にも反するとして国に損害賠償を求め、札幌、東京、名古屋、大阪の4地裁に一斉提訴。9月も、同様の訴えが東京と福岡の両地裁で起こされた。

 そんな中、婚姻に準ずる事実婚が同性カップルでも成立するかが争われた訴訟の判決で宇都宮地裁真岡支部は「同性のカップルでも、実態に応じて一定の法的保護を与える必要性は高い」と判断。婚姻は「両性」の合意のみに基づき成立すると規定した憲法24条について、こう指摘した。

 「憲法制定当時は同性婚が想定されていなかったからにすぎず、およそ同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」。また厚生労働省付属の国立社会保障・人口問題研究所が全国の既婚女性6100人余りを対象に実施した調査の結果が今月公表され、同性婚を法律で認めるべきだと答えた人がほぼ7割を占めた。

 家族の形が時代とともに多様化する中、同性カップルを公的に認める自治体が相次ぎ、性的少数者(LGBT)に配慮した職場づくりに取り組む企業も増えている。しかし国会は流れから取り残されたままだ。法整備に向け、具体的な議論に取り掛かる必要がある。

 宇都宮地裁真岡支部のケースは、長年にわたって同居し、同性婚を認めている米国で結婚した同性パートナーの不貞行為により関係が破綻したとして、30代女性が損害賠償を請求した。パートナー側は「日本では同性の夫婦または内縁関係について貞操義務が生じ、法的保護に値する段階にはない」などと争った。

 賠償を命じた9月18日の判決は「価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じ難い状況となっている」と指摘。2人について「比較的長い期間の共同生活の事実がある」とし「血のつながった子をもうけることはできないが、男女間の内縁関係と同視できる生活関係にあった」と述べた。

 時代の変化を色濃く反映した司法判断といえよう。人口問題研究所の調査で、同性婚に「まったく賛成」と「どちらかといえば賛成」と答えた人は69.5%に上った。世代別では29歳以下が92.1%、30代89.5%。60代は59.3%、70歳以上42.2%という結果だった。また「同性カップルにも何らかの法的保障が認められるべきだ」とした人は75.1%いた。

 日弁連によると、今年5月現在、欧米を中心に30近くの国で同性婚が認められている。日本では東京都渋谷区が2015年に同性カップルをパートナーとして公的に認める証明書を発行する制度を創設し、他の自治体にも広がっている。社内の慶弔規定などで法律婚と変わらない扱いをする企業も増えた。とはいえ法定相続人になれないなどの不利益はなくならない。

 外国人の場合は「配偶者」として在留資格を得られず、不安がつきまとう。だが伝統的な家族観にこだわる自民党保守派はかたくなに変化を拒み続けている。各地で提訴した人たちが求めるのは特権ではなく、生きづらさの解消であり、その声をくみ取るのは国会の役割だ。

2019年10月7日 無断転載禁止