30年入院の障害男性の母 書いた詞と歌声、感涙呼ぶ 

池田将恵さんに声を掛ける母の千栄子さん=松江市上乃木5丁目、松江医療センター
 松江医療センター(松江市上乃木5丁目)に30年近く入院する障害男性の母が書いた詞にセンター職員が曲を付けた歌「あなたの笑顔~母から子へ~」が生まれた。男性は家族にとっての太陽であり、生きがいになっているとの思いを込めた。このほど開かれたセンターの祭りで母が歌い上げ、多くの来場者の感涙を呼んだ。

 1990年からセンターで過ごす池田将恵(まさしげ)さん(41)の母・千栄子さん(67)=安来市赤江町=が作詞した。4人兄弟の次男で、生後間もなく髄膜炎を発症。会話はできず、今は寝たきりの状態だ。

 「あなたの笑顔にあいたくて 明日もきっといいことあるよう」

 身の回りの世話のため病院に通う千栄子さんを見つけたときの表情、喜びを表すようにばたつかせる左手…。わが子の存在が、千栄子さんや父・文広さん(68)にとって、日々の原動力となっているとの実感をつづる。

 「今日も一日がんばりますと おてんとうさんに誓い 一日がはじまるの」

 千栄子さんが「太陽」と表現する将恵さんが放つ光の下に、家族は結束する。兄弟3人が中高生の時、話し声が耳に入った。「僕たちがまーくん(将恵さん)を見ていく」。胸一杯になった千栄子さんは、そっとその場を離れた。

 作曲の心得がある保育士の寺本昌子さん(58)が、家族の明るさが伝わるような温かな曲調に仕上げた。安来節を習ってきた千栄子さんが5日、100人の聴衆に初披露。将恵さんも、母の傍らでスズを振って共演した。涙を流す人たちの姿に「共感してもらえた」と千栄子さんは喜んだ。

 将来が恵まれるように。名に込めた願いだ。「私たち家族が恵まされている。心の面で私や主人や兄弟を助けてくれる」と千栄子さん。今後、手話を付けたいという。依頼があれば各地で歌う。問い合わせは千栄子さん、電話080(3247)4749。

2019年10月12日 無断転載禁止