島根県の重点事業見直し/県民生活に支障避けよ

 島根県が2020年度予算編成で、23事業について重点的に見直しを検討する。これまで「聖域」とされてきた教育分野や人口減少対策にもつながる企業立地のための助成事業も含まれており、関係者からは不安の声が上がっている。県は県民への影響を勘案するとしているが、県民の生活に極力支障が出ないよう、慎重な議論が必要だ。

 県は、丸山達也知事が人口減少対策として県政運営の最上位計画に掲げる「島根創生計画」(20~24年度)を具体化するため、既存事業を見直し、財源を確保する。

 19年度から6年間の県財政見通しによると、同計画の重点経費の確保などを要因に20年度以降、年単位で11億~23億円の収支不足になるという。国からの地方交付税が減少する中で29年開催予定の島根国体の準備費や非常勤職員への期末手当支給など新たな支出増要因も加わった。策を打たなければ、溝口善兵衛前知事の下で10年かけて達成した財政再建の後退は避けられない。

 財政の厳しさを踏まえ、県が収支改善を目的に策定を進めているのが「中期財政運営方針」(20~24年度)。(1)既存事業を見直す「スクラップ・アンド・ビルド」(2)行政の効率化・最適化(3)県有財産の売却などによる財源確保(4)決算剰余金などを活用した財政基盤の強化-などを柱とする。

 23事業の見直しは(1)に該当する。このうち「事業実績や市町村などとの負担割合などを再点検し、廃止や予算規模の縮減検討が必要」とした東京都港区にある県営ホテル「島根イン青山」(19年度当初予算額1億7900万円)の営業については、運営委託と賃貸の契約期間が切れる22年7月までで終了する方向で検討している。

 対象事業には「事業費が10億円以上の主な県単独事業」として5事業が含まれる。教育関係者が懸念するのが、県内全ての小中学校を対象にしている少人数学級編成(同10億5200万円)だ。

 1クラス40人の国の基準より少ない30人(小学校低学年)、35人(小学3年以上)を基準に学級を編成。小3児童が36人いる学校では2クラス設けるなど、きめ細かい教育を実施している。その分、県の独自財源で定数を上回る教員を採用している。

 その結果、子どもたちに教師の目が届きやすくなったことで学級が落ち着きを取り戻したなどの効果が報告されており、教育関係者からは「見直されたら、目が届きにくくなる」と懸念が広がる。

 また、誘致企業に雇用人員などに応じて助成金を支給する企業立地助成制度(19年度当初予算額32億1800万円)は、人口減を食い止める働き場の確保を担う。助成額を減額するとなれば、島根創生計画に逆行することにもなりかねず、対応は難しい。

 こうした事業について県は現状では「ひとまず立ち止まって考える」(県財政課)というスタンスで、来年の2月定例県議会で20年度当初予算を示す中で見直しの検討結果を説明する方針。ただ、中期財政運営方針では創生関連事業に年間10億円程度の上乗せを見込んでおり、「無傷」というわけにはいかない。

 個々の事業にメスを入れるには県民の理解が不可欠だ。県民生活に支障がないよう、配慮を求めたい。

2019年10月18日 無断転載禁止