世事抄録 パソコン依存症

 先日、愛用のノート型パソコンが故障した。乏しい知識で悪戦苦闘したが迷路に入り、結局メーカーに見てもらった。回復に10日を要し、その間、日頃いかにパソコンに自らの時間が費やされ、束縛されていたかを実感した。

 職場にパソコンが支給されたのは退職1年前。ただキーボードを押して遊んだ程度で終わった。しかし、定年後の日々、その便利さからパソコンは手放せない存在となった。

 朝食後、パソコンを開き、時間をかけてネットニュースを見る。その後、音楽の編集で午前が過ぎ、午後には新聞投稿用の短歌、エッセーの作成、メールの整理をする。その合間もニュースサイトを頻繁にのぞき、知識を得た気になって日が傾く。健康にいいはずがない。

 パソコンが消えた1日目は、身の処し方に困った。新聞の隅から隅まで目を通し、図書館で借りた本を読み終える。することがなくなると、必然的に脳の命令で外回りの仕事を探す。夕方になり、投稿締め切り間近の短歌を自筆ではがきに書く。調べたいことがあり、百科事典と広辞苑を開き解答を得る。似たような日課がしばらく続いた。その間、家人との対話が増え、家事の依頼も増えた。徐々に脳がすっきりし、体が軽くなっていった。パソコン帰還後、扱いが慎重になり、使用時間を決めた。依存症は、前よりは軽くなった。

(浜田市・清造)

2019年10月24日 無断転載禁止