レッツ連歌スペシャル(黒田 光)・10月31日付

(挿絵Azu)
◎昨日は二割今日は三割

見ていろよ明日は満塁ホームラン(江津)岡本美津子

ドカベンになる日夢見て草野球 (出雲)岡  佳子

視聴率急上昇のラグビー戦   (益田)兼子 哲彦

高座から見下ろす席に客まばら (松江)持田 高行

空席を埋める学生アルバイト  (浜田)勝田  艶

欲しかったコートにやっと手が届き
               (出雲)野村たまえ

明日まで待ってみようかワンピース
               (出雲)平井 悦子

新婚も一年経てば主婦の顔   (益田)石田 三章

髪の毛の分け目を変える手際よさ
             (隠岐の島)大田 有子

初めての芋焼酎をお湯呑みで  (益田)可部 章二

エサ代のもとが取れぬと太公望 (浜田)酒井 由美

父さんが試行錯誤のそば作り  (松江)今井 ヒロ

減塩の病院食は味気なく    (松江)佐々木滋子

夏休みかけて挑んだ逆上がり  (松江)山崎まるむ

遠山の紅葉色づく頃となり   (松江)小谷由紀子

川土手を紅く染めてく彼岸花  (江津)花田 美昭

懸崖に仕立てた菊の花が咲き  (松江)岩田 正之

好物の柿食べごろに色づいて  (出雲)はなやのおきな

体重が味覚の秋でリバウンド  (松江)澄川 克治

寝たきりの母に食べさす介護食 (益田)石川アキオ

医療費は増えるばかりの高齢者 (川本)大畑喜美子

被災地の復旧作業もどかしく  (浜田)勝田  艶

            ◇

 予想はしていたものの、やはりバーゲンやスーパーの安売りをテーマにした句が多く集まりました。こうなると表現力の勝負。今回は厳選して、たまえさん、悦子さん、三章さんの句をとらせていただきました。「特売」「値引き」「セール」「半額」というような表現を用いたものが多かった中、3人の方のどの句にもそれらの単語は使われていません。それでいて、ちゃんと商品が安売りされていることが伝わってくるし、買い物をめぐるちょっとしたドラマみたいなものまで見えてきます。なかなかハイクラスなので、まねをするのは難しいかもしれませんが、うまい句作りの見本としてぜひ参考にされたらよいと思います。

 消費税が10%に引き上げられ、軽減税率なるものも登場したりして、何かと数字に振り回されることの多い今日この頃です。2割と3割の違いなんて、宇宙から見れば全く話にならないほど些細(ささい)なものに過ぎないのですが、ちっぽけな人間にとっては大問題。わずか1割の差に、焦ったりいら立ったり幸せを感じたり。ほほ笑ましくもささやかな私たちの日常ですね。

 さて、今年のスペシャルはこれが最後です。1年間お付き合いありがとうございました。全4回でしたが、私自身とても楽しく勉強にもなりました。来年も面白そうな前句を用意してお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。少し早いですが、よいお年をお迎えください。

 (詩人)

2019年10月31日 無断転載禁止

こども新聞