ヤフー・LINE経営統合/GAFAに対抗する力を

 ヤフーとLINE(ライン)が経営統合に向け交渉していることが明らかになった。実現すれば国内で最大のプラットフォーマーになる。

 だが世界市場で見ると、日本のインターネット企業の影はまだ薄い。新たに誕生する統合会社には、日本の出遅れを挽回し、グーグル、アップル、フェイスブックなど「GAFA」と呼ばれる米IT大手や、中国大手に対抗できる力をつけてもらいたい。

 ヤフーを展開するZホールディングス(ZHD)の親会社のソフトバンクと、LINEの親会社である韓国のIT大手ネイバーが折半出資してつくる新会社が、ZHDの親会社になり、その傘下にヤフーとLINEが入る枠組みが検討されている。月内の基本合意を目指しているという。

 買い物や外食予約などの日常生活、製品開発や市場調査などの企業活動のほとんどは何らかの形でインターネットにつながっており、ネットは社会に欠かせない基本インフラになったと言える。

 人工知能(AI)がさらに発展し、第5世代(5G)移動通信システムが本格稼働すれば、デジタル経済はさらに拡大するのは間違いない。

 自動車や家電なども、もはや「モノのインターネット(IoT)」抜きには語れない。製造業だけではない。決済や融資、資産運用など従来、銀行や証券が担ってきた金融分野でも、IT系企業による進出が目立つ。デジタルが経済成長をけん引していると言っていいだろう。

 今回、統合の交渉に入った2社はその最前線で新規サービスを次々と生み出し、業績を向上させてきた。ヤフーは購買履歴や検索結果などのデータを活用した広告ビジネスを展開し利用者は約5千万人。LINEは無料通信アプリによるメッセージ送信などで知られ、国内では8千万人超の利用者がいる。無料通話のほか音楽なども提供している。

 この2社が統合し、顧客基盤や技術など互いの強みを持ち寄れば、サービスは強化され日本市場での安定感はより強まるだろう。だが、それだけにとどまるようなら、統合の成果は乏しいと言わざるを得ない。

 既存事業の改善はもちろんだが、経営資源を思い切って技術開発に投入し、積極的に新規サービスを打ち出し、日本のネット業界をけん引してほしい。統合企業の興隆がライバル各社の刺激になって、より強力な企業体を目指す合従連衡などにつながることを期待したい。

 「GAFA」の強みは革新性の高いサービスをいち早く市場に投入し、他社が追い付けない間に市場を席巻してしまう迅速性だ。ネットの技術革新は日進月歩の世界だ。開発投資に回す資金を安定的に賄うことが欠かせない。優秀な技術者を好条件で待遇することも重要だ。

 日本のネット企業も一定の事業規模を確保し、安定した収益基盤を構築したい。今回の統合は、その方向に一歩を踏み出したと言えるだろう。できるだけ早く統合による具体的な成果を上げることが重要だ。海外にも目を向けたい。LINEはタイなど海外でも利用者が多い。統合会社はこれを足場に、まずはアジア市場でビジネスを拡大して競争力を養い、国際市場で存在感を高めてほしい。

2019年11月16日 無断転載禁止