7~9月期GDP/景気失速の回避を

 7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.1%増、年率換算0.2%増となった。4四半期連続のプラス成長だが、横ばいに近く、消費税増税前の駆け込み需要を除くと、実態はさらに悪い。10月以降は増税の影響で景気の後退色が強まっており、日本経済は景気失速を回避できるかどうかの難しい局面に入った。

 GDPの両輪のうち個人消費は前期比0.4%増、企業の設備投資は0.9%増と、それぞれ2四半期連続で増加した。住宅投資は1.4%増。内需は成長率に0.2ポイント寄与した。輸出は0.7%減、輸入は0.2%増で、外需は成長率を0.2ポイント押し下げた。

 10月からの消費税増税を前に注目された個人消費は、家電や日用品、自動車などで駆け込み需要があった。ただ、前回の増税直前の2014年1~3月期は個人消費が前期比2.0%増で、GDPを年率3.9%増に押し上げたのと比べると、駆け込みは小規模にとどまったとみられる。

 それにもかかわらず、増税後の10月の百貨店や家電量販店の売上高、新車の販売台数は大きく落ち込んだ。駆け込みの反動減が出ているだけではなく、消費者心理が大きく悪化しているのかもしれない。もしGDPの約6割を占める個人消費の低迷が一時的でないなら、景気後退につながる恐れがある。

 輸出は米中貿易摩擦や中国経済の減速などに足を引っ張られた上に、サービス輸出に計上される訪日客の消費が日韓関係の悪化で減少したことも響き、2四半期ぶりのマイナスとなった。

 企業の設備投資は人手不足に対応する省力化投資などで気を吐き、住宅投資も堅調だったものの、いずれも成長を主導するほどの力はない。全体として主役不在の弱々しい経済成長と言うべきだろう。

 GDP以外の各種の経済指標でも、景気の減速は明らかだ。9月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感が3四半期連続で悪化し、先行き3カ月も悪化が見込まれる。9月の景気動向指数の基調判断は、2カ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となった。景気は昨年秋ごろに既に山を越えたとの見方も少なくない。

 消費税増税の影響による個人消費の落ち込みから判断して10~12月期は高い確率でマイナス成長が予想される。前回増税後の14年4~6月期は年率7.3%減の大幅なマイナス成長だった。政府の増税対策の効果で反動減が小さくなるとしても消費の基調は弱く、楽観を許さない。世界経済の減速による外需の不振も早期の改善は期待できない。

 問題は年明け以降だ。個人消費の冷え込みが長期化し、深刻化すれば、一時の景気悪化にとどまらず、景気失速の懸念が現実味を増してくる。いかにして失速を回避するかが、当面の経済政策の最重要課題である。

 安倍晋三首相は今月8日、約3年ぶりに経済対策の策定を指示した。相次ぐ自然災害を踏まえた被災地の復旧・復興、インフラ整備と、景気の下支えが柱だ。仮に景気失速のリスクが顕在化した場合、日銀に追加的な金融緩和の手段は乏しく、政府が主役となるしかない。政府の手腕が問われる。

2019年11月17日 無断転載禁止