世事抄録 現代元号考

 「令和」という新元号最初の年も暮れようとしている。ある意味、令和あるいは改元が、今年という年を一番象徴する言葉であり、出来事だったと思う。

 元号は中国起源の時間管理制度だ。為政者が時間に命名する権利を行使することで、領土支配とともに時間支配権を誇示し、威厳を高めることが目的の一つだと思う。現在は日本だけが行使している。

 日本史をひもとくと、為政者の交代や国事多難などを理由として改元を「乱発」した例が多く、結果として10年間以上続く元号の方が珍しいという、小刻み状態(1年だけの元号も結構ある)となっている。そのため、小生のように日本史研究を楽しむ者にとっては、年数計算がややこしくてはなはだ困る。

 しかし一方で、小生は、元号といえば「明治は遠くなりにけり」という、中村草田男の俳句「降る雪や~」に由来する言葉を思い出す。昭和生まれの小生も改元を2度経験し、まさに「昭和は遠くなりにけり」を実感させられるのだが、こうした感慨は、元号なくしては起こり得ないということに気付く。もちろん西暦による「1970年代」のような10年刻みの考え方もあるが、日本人にとっては、日本社会と一体化した元号による時代観も、まんざらなくなると寂しいように思えるのだ。

 皆さんはどう思われますかな。

(島根県津和野町・柊)

2019年12月19日 無断転載禁止