数字で読む「最近の若者」/地域課題触れ高まる意欲

島根県教育魅力化特命官 岩本 悠

 先月、若者の「社会や国に対する意識」の国際比較調査の結果が日本財団から発表された。欧米やアジア9カ国の18歳を比較したものであるが、驚いた。日本の若者は「自分の国の将来はよくなる」が10%(他国は21~96%)、「自分で国や社会を変えられる」が18%(同40~83%)、「社会課題について家族や友人など周りの人と積極的に議論している」が27%(同55~88%)と、総じて低かった。「将来の夢を持っている」など他の項目でも差をつけられ、最下位だった。

 未来に対して「希望」を持たずに「不安」を抱え、社会に対して「あきらめ」や「受け身」で、内向きになる姿が映し出されているかのようであった。日本の未来はどうなっていくのかと不安がよぎった。

 一方で「地域・教育魅力化プラットフォーム」などが行った高校生の意識調査結果からは、希望と可能性が見て取れた。

 この調査では、島根県内の高校魅力化に取り組む16校の生徒(4104人)と、全国の高校生を比較。魅力化校の生徒たちは「うまくいくか分からないことにも意欲的に取り組む」が76%で全国より24%高く、「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」は68%で全国より27%も高いなど、主体的な挑戦意欲が高くなっている。

 「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」は66%で全国より28%も高く、「地域をよりよくするため、地域における問題に関わりたい」は54%で全国より25%高い。「関心を持ち、解決したいと考えている社会の課題がある」は39%で全国より12%高いなど、地域社会への参画・貢献意欲も高くなっている。

 離島や中山間地域の定員割れしている高校は「意欲が低く」「社会感度も低い」生徒が多いとのイメージを浮かべる人がいるかもしれないが、魅力化に取り組んできた島根の離島中山間地域の高校生は違う。むしろその逆である。数字が示したのは、こうした高校や高校生こそ日本にとっての「希望」である、ということだと私は思う。

 何がこうした高校生の意欲を高めたのか。調査結果を分析すると、「地域の人や課題などに、じかに触れる機会がある」高校生ほど、社会参画意欲や自己効力感が高いことが分かった。各高校が取り組んできた地域と連携した活動や学びを通して、地域や社会を自分たちで創っていけるという実感と自信が育まれたのではないだろうか。

 また、生徒の周りに、「地域の人や課題など、興味を持ったことに対してすぐに橋渡しをしてくれる大人がいる」ことが「将来、自分のいま住んでいる地域で働きたいと思う」などの項目に関係していることも分かった。

 さらに、「自分が何かに挑戦しようと思ったとき、周りが手を差し伸べてくれる」と、「うまくいくか分からないことにも意欲的に取り組む」に相関があることも分かった。子どもや若者が何かをやってみようと思ったときに、周りの大人が否定するのではなく、ちゃんと話を聴き、背中を押したり、応援したり、橋渡しすることが、結果的に彼らの挑戦意欲の芽を育むことにつながっているのだろう。

 「最近の若者」も捨てたものじゃない。彼らこそ、地域や社会の「希望」である。「希望」を育むために、私たちにできることは、まだある。

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 いわもと・ゆう 東京生まれ。大学時代にアジア・アフリカを巡り『流学日記』を出版。ソニーを経て、2007年から隠岐島前の高校魅力化に従事。15年より島根県の教育魅力化に携わる。一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表。

2019年12月22日 無断転載禁止