カジノ管理委発足/不正防止に万全を期せ

 カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で東京地検特捜部の捜査が拡大する中、政府は内閣府の外局としてカジノの運営を監督し、ギャンブル依存症対策も担うカジノ管理委員会を発足させた。今月中にも事業者選定基準などを示す基本方針を策定。誘致自治体による事業者の公募・選定手続きが本格化する。

 IR担当の内閣府副大臣を務めた衆院議員秋元司容疑者が、IR参入を目指す中国企業側からの370万円相当の収賄容疑で逮捕されても菅義偉官房長官は「できるだけ早期にIR整備による効果が実現できるよう着実に進めていきたい」と強調。スケジュールは変えない考えを示した。

 しかし秋元議員が具体的にどのような働きかけをしていたのか、現時点では明らかになっていない。さらに贈賄側の中国企業元顧問らは超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)メンバーだった自民党議員ら5人に資金提供をしたと供述。今後、海外のカジノ事業者から政府や自治体への売り込みもさらに激しさを増すとみられる。

 IR整備法は政府や自治体でIR関連業務に携わる職員が客として「カジノ行為」をしてはならないと定めているが、カジノ利権の闇は深い。一度立ち止まり、参入競争の実態を検証した上で、業者側との接触を禁じるなど不正防止に万全を期す必要がある。

 元福岡高検検事長をトップとするカジノ管理委はカジノ事業者の免許審査や付与、運営の監督を行い、法令違反があれば免許を取り消したり、業務停止命令を出したりできる。マネーロンダリング(資金洗浄)やギャンブル依存症への対策も担う。安倍晋三首相は「強い権限を持つ管理委が世界最高水準の規制を的確に実施する」とする。

 IR誘致に向け都道府県や政令指定都市は2021年1月から、公募で選んだ事業者とともに計画を提出、有識者委員会の審査を経て国土交通相が最大3カ所の整備地域を選ぶ。横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の4地域が誘致を表明。IR開業は20年代半ばと見込まれている。

 中国企業は17年7月に日本法人を設立。IR推進派の秋元議員に近づき、8月に沖縄県で開催したIR事業のシンポジウムで講演料200万円を支払った。50万円の予定だったが、シンポ直後に副大臣になると分かり、増額したという。9月28日には、東京・永田町の衆院議員会館内の事務所で賄賂の現金300万円を手渡したとされる。

 また18年2月、北海道への家族旅行の旅費など70万円相当も負担したという。一方で、IR議連幹部だった岩屋毅前防衛相ら自民党4人と日本維新の会1人に100万円ずつを渡したと中国企業側は供述している。

 受領を否定している自民の4人、認めている維新1人にしても職務権限はないが、参入競争の激しさがうかがえる。もともと外国企業の献金は禁止されているからと政府が規制強化に動く気配はない。とはいえ業者は次々と候補地に現地事務所を構え、各方面に攻勢をかけているとされる。

 ギャンブル依存症などの不安は根強い。さらに癒着が表面化しても、カジノ開業ありきで突き進む政府の姿勢には危うさを覚える。

2020年1月12日 無断転載禁止