世事抄録 油断召されるな

 特殊詐欺で大金をだまし取られたという報道を見るたびに、これほど話題になっているのになぜと不思議に思ってしまう。

 そんな折、一通のはがきが届いた。表題は「民事訴訟提訴通達書」。「契約会社から契約不履行の民事訴訟を起こされたことを改めて通知いたします」と書かれ、名称はなく取り下げの相談窓口の電話番号が書いてあった。

 思い当たる節はなく、以前に通知があったわけでもない。ご丁寧に政府の紋章「五七の桐」まで薄く印刷されている。文面には連絡がないと差し押さえを強制的にするとあり、2日後が最終期限と受け手を焦らせる仕掛けもしてある。

 すぐ市役所の消費生活センターに電話をかけた。話ではこうした通知がかなり出回っているという。一切相手にしないのが良いという助言だったが、住所をどこで知ったかという不気味さは残る。

 学生の頃、京都で売れ残った洋服を安くすすめられてつい乗ってしまった苦い体験がある。後で確かめるとずさんな縫製の粗悪品だった。相手の術中にはまると冷静さを失ってしまう。

 特殊詐欺は電話をかけてくる例が圧倒的に多く、昨年も海外の拠点で電話をかける「かけ子」が何十人も逮捕される事件があった。昨年上半期で電話をきっかけにキャッシュカードをすり替える手口の被害は約20億円に上るという。

 だましの手口は刻々と変化している。電話の相手はだましのプロ。ゆめゆめ油断召されるな。まずは局番なしの「188」の消費者ホットラインか全国共通の警察相談専用電話「♯9110」へ。

(出雲市・呑舟)

2020年1月16日 無断転載禁止