島根県の高齢者雇用/シニア就労先進県目指せ

 島根県内で高齢者雇用が進んでいる。従業員31人以上の企業で66歳以降も働ける企業の割合が昨年、過去最高の40%を記録し、全国都道府県で46%の秋田を最高に大分に次いで3位となった。鳥取県は全国平均並みの31%で35位だった。

 島根県内では、常勤に限らず短時間勤務などを含め、65歳以上の働く人は、5万7千人(2015年国勢調査)と前回調査と比べて1万人以上増えている。

 少子化による労働力不足を補うため、国も高齢者雇用を推進しているが、全国に先駆けて高齢化が進む島根県がその流れを逆手に取るチャンスでもある。

 高齢者の就労意欲を引き出しながら、年齢に応じた多様な働き方を広げ、官民挙げてシニア就労先進県のモデルを目指してほしい。

 島根労働局の調査では昨年6月現在、県内に本社がある従業員31人以上の全企業999社が、法律で義務づけられている希望者全員の65歳までの継続雇用を達成。その上で66歳以上でも働ける制度があるのは、昨年6月時点で397社で全体の40%。一昨年より48社増えて過去最高となり、65歳以上の常用勤労者数は、8186人と10年前の2009年に比べ3倍以上になった。

 これらの企業の勤労者全体に占める割合も09年2%から7%に高まり高齢労働力に依存する傾向は強まっている。

 65歳の雇用継続義務年齢を過ぎても契約社員など非正規で働き続けるケースが多い。

 高齢者の就労意欲が高まっているのに加え、近年の人手不足を補うため、定年後も引き続き労働力として活用しようとする企業側のニーズと合致していることが主な要因。

 高齢者雇用と言えば、企業側にとって雇用義務に迫られた福祉雇用の性格が強かったが、労働力人口が減少する中で技能の伝承役など必要な戦力として活用する戦略が求められている。

 その例として浜田市にある食品製造の石見食品は、60歳以上でも役職に就いたり、昇給したりする制度を設け高齢従業員の就労意欲を高めている。58人いる従業員のうち4人に1人は60歳以上だ。

 石田浩志社長は「年齢で一律に判断せず一生懸命働いている人に報いたい。若い社員を育てるためにもシニアの力は不可欠」と話す。

 雲南市掛合町にある金属製品製造の協栄金属工業では81人が働いているが、75歳を最高齢に65歳以上の従業員4人のうち3人は他社を定年退職した技能者。溶接技術などを伝承するのが狙いで、小山久紀社長は「溶接の作業は、ロボットなどでは代わりが難しい。他社から転じた人でも、その技術を若い人に伝えることで企業の競争力を維持できる」という。

 高齢になっても働く理由として「年金だけでは生活が不安」と並び「時間を有効に使いながら、社会とつながりたい」というのが多い。

 老後の自由を楽しみたいが、生活不安に駆られて働かざるを得ない実情は直視されなければならない。その一方で老後も働き続けることに生きがいを見いだす人も少なくない。年金との見合いで老後の働き方も変わるが、それぞれの事情に応じながら、官民が協力して幅広い選択肢を用意すべきだろう。

2020年1月28日 無断転載禁止