レッツ連歌スペシャル(黒田 光)・1月30日付

 ◎見渡せば花も紅葉もなかりけり

豪華客船着く港町       (米子)板垣スエ子

はだかの大将次は何処へ    (出雲)飯塚猫の子

どこへ行くやらフーテンの寅  (出雲)行長 好友

オノゴロ島に神は降り立ち   (益田)石川アキオ

竹の中から姫のお出まし    (松江)河本 幹子

猪鹿蝶は揃わずに逃げ     (松江)花井 寛子

骨董市で探す掛け軸      (松江)野津 重夫

缶ビールにも冬が来ました   (安来)根来 正幸

母校の跡地今ニュータウン   (松江)勝部 政子

テントの横ですするコーヒー  (出雲)野村たまえ

天空の城包む雲海       (江津)江藤  清

朝霧に浮く天空の城      (益田)可部 章二

新宿御苑にまた春が来る    (益田)吉川 洋子

東京五輪準備OK       (松江)山崎まるむ

月面旅行来てはみたけど    (大田)隆   峰

鷹にまたがり富士の頂     (飯南)塩田美代子

一獲千金夢見たばかりに    (出雲)萩  哲夫

金の成る木を誰も知らない   (大田)塩毛 千介

君と僕とがいればいいのさ   (松江)相見 哲雄

口笛吹いて若者は行く     (出雲)櫛井 伸幸

ベッドで安静白い天井     (浜田)勝田  艶

富士の高嶺に雪は降りつつ   (美郷)吉田 重美

遠く離れて恋しふるさと (埼玉・所沢)栗田  枝

原爆投下一瞬にして      (江津)星野 礼佑

被災者はまだ仮設住宅     (松江)加茂 京子

レッツ連歌に励むほかない   (江津)岡本美津子

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挿絵・麦倉うさぎ
 新年明けました。今年もレッツ連歌を、そしてスペシャルをどうぞよろしくお願いします。

 今年最初のスペシャルの前句は、三夕の歌でおなじみの、藤原定家の名歌「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」から借りてみました。

 驚いたのは美代子さんの句。鷹にまたがって空を駆け上り、富士の頂から下界を見下ろすのですね。「銀の龍の背に乗って」という中島みゆきの歌を思い出しました。あの歌は、現実を越えて行きたいという、弱く無力な者たちの願いを歌ったものだったと思いますが、こちらはもっと明るくてお正月らしい、おめでたい句ですね。

 その他にも、アキオさんの国生み神話のオノゴロ島、隆峰さんの月面旅行、寛子さんの花札、正幸さんのビールのパッケージなど、今回は発想の面白い句が目立ちました。花も紅葉もない景色が、こんなにも豊かで味なものとは思いませんでしたね。言葉と想像力さえあれば、私たちにも越えて行けそうな気がしませんか。冬枯れの季節も。白い天井も…。

 ということでレッツ連歌。2020年も言葉の花をたくさん咲かせていきましょう。また1年どうぞよろしくお願いします。

(詩人)

2020年1月30日 無断転載禁止

こども新聞