文化財の宝庫・松江

 「松江」と聞いて、何を思い浮かべるだろう。松江城、宍道湖、シジミ、和菓子、お茶、小泉八雲…。文化財はどうか。1611年に松江城が完成し、城下町として発展してきただけに、江戸時代以降のものばかりのように思えるが、実は古代からの豊富な文化財がそろっている▼島根県の国・県指定の史跡数を見ると、松江市に40件があり、県全体の37%を占める。史跡の多くが縄文時代から古墳時代にかけての遺跡だから、古代出雲の発展ぶりがうかがえる。平安時代以降でも多くの文化財がある。国、県、市指定の文化財は国宝の松江城、神魂(かもす)神社をはじめ247件を数える▼松江市殿町の松江歴史館で4月12日まで、市内の文化財38件(86点)を集めた企画展「松江市につたわる指定文化財」が開かれている。注目は華蔵寺(けぞうじ)(枕木町)の本尊・薬師如来坐像(ざぞう)で50年に1度しか開帳されない秘仏。修理を終えて今月20日から展示される脇侍(わきじ)の日光・月光菩薩(ぼさつ)像とそろって寺外で展示されるのは初めてという▼奈良国立博物館に寄託されていて普段は見ることができない阿弥陀如来立像(浜乃木・善光寺蔵)の他、平所(ひらどころ)遺跡埴輪(はにわ)窯跡出土品(県立八雲立つ風土記の丘蔵)なども展示しており、存在感に圧倒される▼啓蟄(けいちつ)も過ぎ、春も本格化してくる。じっくり文化財を鑑賞した後、会場にある指定文化財マップを手に市内の文化財巡りも楽しそうだ。(富)

2020年3月10日 無断転載禁止