いつもと違う春

 今のような春先に降る雨のことを「催花雨(さいかう)」と呼ぶそうだ。早く咲け、と花をせきたてるように降る雨という意味。暖冬の影響で例年より桜の開花が早まりそうな今春。おとといの雨がそれなのだろう▼きのうは涙の雨が降った。新型コロナウイルス感染拡大を受け選抜高校野球の無観客での開催に向け準備を進めていた日本高野連が、一転して大会の中止を決めた。感染が終息に向かったとは言い難い中、やむを得ない判断だと思う。ただ、山陰から出場を決めていた平田と鳥取城北ナインや関係者の気持ちを思うと、何ともやりきれない▼特に21世紀枠の平田は春夏通じて初の甲子園だった。先月中旬、会合で同席した坂根昌宏校長は、出席者から次々と祝福を受けて笑みを浮かべた。知人は「野球部OBとして母校に恩返ししたい」と寄付金集めに奔走していた。まさかこんなことになるとは思いもしなかっただろう▼「残念だが仕方ない。気持ちを切り替えて、夏を目指したい」と保科陽太主将。気持ちを切り替えるのは簡単ではないだろうが、今は「失意を乗り越えて頑張れ」とエールを送ることしかできない▼「春はセンバツから」という決まり文句が使えない今年。プロ野球は20日の開幕が延期となり、サッカーJリーグも18日を目指していた公式戦再開が先送りになった。桜の開花は間もなくだが、いつもと違う春がしばらく続きそうだ。(健)

2020年3月12日 無断転載禁止