世界同時株安/沈静化へ協調と尽力を

 新型コロナウイルスの感染拡大を引き金に、日米欧をはじめ世界の主要株式市場で動揺が収まらない。ニューヨーク市場では過去最大の下げ幅を記録し、東京市場も一時前日比1800円超安と記録的な下落となった。

 感染終息が見通せない中で従来の金融緩和策ではこの危機に太刀打ちできない。中央銀行が資金供給に万全を期す一方で、各国は防疫と経済的ダメージの抑制に最大限協調し、力を尽くすべきだ。

 世界保健機関(WHO)は11日、感染拡大により主要市場が弱含んでいた中で、今回の事態を「パンデミック(世界的大流行)」と表明。さらに同日、トランプ米大統領が感染抑止のため英国を除く欧州からの入国を30日間停止すると発表したことで、欧米をはじめとする世界的な経済活動の停滞・縮小が強く意識され株売りにつながった。

 今回の危機が1987年のブラックマンデー(暗黒の月曜日)や2008年のリーマン・ショックなどと異なるのは、引き金が金融・経済面ではなく、新型ウイルスによる感染症の発生にある点だ。

 これまでの危機では、中央銀行による金融緩和政策が有効で、各中央銀行が金利の引き下げなどにより動揺をある程度抑え込むことができた。しかし、今回の事態ではその前例は当てはまらない。

 実際、米中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)は今月3日、緊急に政策金利を0.5%引き下げ市場の安定を図ったが、結果を見る限り効果はほとんどなかった。

 欧州中央銀行(ECB)は12日、市場への資金供給を増やす政策を決定する一方で、政策金利の引き下げは見送った。先行した米利下げの効果などを見極めた上での判断とみられ、理解できる。

 日銀やECBは現在、マイナス金利政策を取っており、そのことが金融機関の収益を圧迫している。一段の金利引き下げは今回のコロナ危機に有効性が乏しいだけでなく、金融機関の体力を損なう恐れが強い。日銀は近く金融政策の決定会合を予定しているが、利下げについては慎重であってほしい。

 一方、中央銀行にとって資金手当てへの不安抑制や事業者への資金繰り支援は重要な役割で、さまざまな知恵を絞るべきだろう。

 FRBは12日の株安を受けて金融市場に1兆5千億ドル(約158兆円)の資金供給を決定した。日銀も同様の対応を取っているが、企業の資金繰りが逼迫(ひっぱく)しやすい年度末が近づいており、支援策を今後検討してもらいたい。

 中央銀行と並んで、財政出動を含む政策対応も必要だろう。20カ国・地域(G20)の財務相と中央銀行総裁は、景気下支えに必要な政策を総動員するとの声明をまとめている。危機が世界に広がったことを考えれば、協調した政策実行が求められよう。

 安倍政権はコロナ緊急対策の第2弾をまとめたばかりだが、4月に追加の緊急経済対策を策定する方向という。落ち込んだ消費を刺激するため子育て世代への現金給付案などが早くも浮上している。キャッシュレス決済に伴うポイント還元の延長・拡充を求める声もある。

 コロナ危機の打撃がどこまで深刻化するか見通せないが、危機に便乗した予算のばらまきには目を光らせたい。

2020年3月14日 無断転載禁止