共生への観察眼

 ダンゴムシは、家の庭や畑などでよく見かける。湿気が好きで、ガーデニングの鉢の下などに潜んでいる。見つけて小判形の小さな体をつついてやると、人間の意地悪から身を守るように真ん丸に変身。その様が愛らしくて、興味を持つ子どももいるらしい▼そのダンゴムシがカビをやっつける実験に、出雲高2年の片岡柾人さんが成功した。昨年末、東京で開かれた高校生の科学研究大会で最優秀に選ばれ、今年5月米国で開催される世界最大の高校生の科学オリンピックと呼ばれるコンテストに日本代表として出場する▼ダンゴムシのふんに、抗カビ物質をつくる細菌が含まれていることを発見、その抽出にも成功した。小学生の頃からダンゴムシを飼育していたが、飼育ケースにカビが発生していないのに着目。島根大の実験室を借りて遺伝子を解析するなど、一昨年から独学で研究を進め、その成果を米国で発表する▼実験の成果は、カビを原因とする病気の治療薬開発などに応用できる可能性がある。「ダンゴムシと細菌の共生関係を立証するのが目標。将来は生化学の研究に携わりたい」▼植物を食い荒らし、害虫扱いされる一方で、微生物を分解しやすくして土壌を豊かにする益虫の顔も併せ持つ。手入れした庭園を荒らす厄介者の排せつ物が、人間の病気を治すかもしれない。自然界の共生の芽を育てる高校生の観察眼が頼もしい。(前)

2020年3月18日 無断転載禁止