世事抄録 見えないもの

 見えないものほど怖いものはない。花粉、PM2・5、コロナウイルス、病原菌、原発事故時の放射能、気配だけを感じさせる?霊、人のうわさなどなど、人は目に見えない得体(えたい)の知れないものに対してめっぽう弱い。

 目で見て確認できないものへの不安感が心をざわつかせ、次第に胸中に暗雲を垂れ込めさせていくためかもしれない。もちろん目に見えているものが全て正しいことだとは言い切れない。しかし、人間は本当に頼りないもので、心理状況によっては冷静な判断をする能力さえ失い、人として考えられないような行動をとってしまうときがある。

 ある新聞の論説で、ウイルスには人の内面を狂わす毒性もある。感情のささくれを生み、他人へと向かわせる。自制や内省といった理性の働きを弱めることが、ウイルス禍のもう一つの怖さかもしれないという一文を読ませてもらった。

 まさにウイルスは身体も、そして精神もむしばむ恐ろしいものであるといえる。事実、保健所の健康相談の電話に対応した職員に、名前も名乗らずいきなり行政のコロナ対応について罵声を浴びせかける方もいらっしゃると聞いた。

 り患していない方は多くの行動が制約される中、本当に大変だとは思うが、今こそ冷静に理性ある行動を取ることで、ウイルスのまん延が少しでも早く終息することに協力いただきたいと切に望む。

(雲南市・マツエもん)

2020年4月30日 無断転載禁止