レッツ連歌(下房桃菴)・6月11日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 生年月日言ってみなさい

オレオレの孫がパニクる電話口  (益田)可部 章二

双子ならなにをやってもバレはせぬ(松江)山崎まるむ

まとまった預金下ろして怪しまれ (出雲)栗田  枝

九月から入学なんてウソでしよう (松江)勝部 政子

ほの暗いクラブのママの厚化粧  (出雲)はなやのおきな

イケメンの介護士さんに頬染めて(奥出雲)松田多美子

大正の中ごろだったと聞いておる (雲南)横山 一稔

大正の大のところで驚かれ    (松江)相見 哲雄

童顔もこんなときには損をする  (松江)鈴木 久子

面接で二十歳になるとサバを読み (大田)隆   峰

面倒な確認されて酒を買い    (出雲)栗田  枝

しばらくは竜宮城におりました  (松江)川津  蛙

今日もまたデイサービスで叱られて(江津)星野 礼佑

元号を知らずとまどう帰国子女  (雲南)錦織 博子

年寄にゃ優しいことばで願います (美郷)吉田 重美

ほんとうに親子ですかとよく聞かれ(江津)江藤  清

まだ早い四つ葉マークは努力義務 (雲南)安部 小春

おもむろに煙草取り出す女学生  (益田)石川アキオ

堂々としてる態度が気に食わぬ  (江津)岡本美津子

古稀過ぎりゃ三割引いてくれる店 (江津)花田 美昭

ヘルパーさん昨日も教えてあげたがね(雲南)野の花

またアタシ若く見られているんだわ(益田)吉川 洋子

だいじょうぶ暗証番号変えたから (出雲)岡  佳子

AIが見合い相手を選び出し   (松江)植田 延裕

西暦でスッと答える二十代    (出雲)野村たまえ

西暦でわざと答えて胸を張り   (益田)石田 三章

おばさんは未成年には売りません (松江)佐々木滋子

書いてあるとおりですがとタテをつき(安来)景山 恒夫

百歳を迎えたことは確かです   (江津)井原 芳政

まだスキーなさる気ですかおじいさん(安来)佐々木幹法

二十歳だと言ってるわりに昭和好き (出雲)放ヒサユキ

           ◇

 ヘルパーさんに生年月日を聞かれるということは、認知症を疑われているに違いありません。とはいえ、野の花さんの句は、ヘルパーさんのほうが疑われている。「昨日も教えてあげたがね」の「あげた」が、恩着せがましくって、なかなかよろしい。逆転の発想がすばらしいですね。

           ◇

 次の前句は、

監視カメラの陰に隠れて

 「カ・カ・カ・カ」と、「カ」を四つ並べてみました。

 付句は五七五ですが、ひとつお願いがあります。もしできれば、前句に倣って、「ス・ス・ス…」でも、「ホ・ホ・ホ…」でもよい、とにかくそういう句作りに挑戦してみてください。

 今回に限って、なぜいきなり、こんなことを言い出したのか、そのわけは次回申しあげます。

(島根大名誉教授)

2020年6月11日 無断転載禁止

こども新聞