夢のビンテージジーンズ工房 自宅倉庫改装、副業で起業

ビンテージジーンズ工房「B・O・T」で、古い米国製ミシンを使って縫製作業に集中する竹永正俊さん
 1940年代のジーンズにほれ込み、過疎化の進む鳥取県日野町下榎にビンテージジーンズ専門の工房を開いたマニアがいる。縫製会社社員の竹永正俊さん(41)で、趣味が高じて自宅倉庫を改装し、年代物ミシンをそろえて副業で起業した。開店直後に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、対面販売の工房は休業したが、顧客の支えで再開。こだわりのジーンズが、人の絆も紡ぐ。

 竹永さんは、高校時代に目にした有名ブランド「リーバイス」のビンテージジーンズ「501XX」(1947年製)のとりこになった。当時も驚くほどの高値。「買えないなら、いつか自分の手で」と誓い、卒業後は迷わずアパレル業界へ飛び込んだ。

 転機は1年前。ビンテージ縫製の聖地を目指す滋賀県東近江市に出向き、知遇を得た工房の代表者から背中を押された。新車を手放して開業資金に充て、47年製の忠実な再現に欠かせない古い米国製ミシンなど十数台を入手。高級デニム生地の生産地・岡山県井原市から素材を取り寄せ、3月下旬にオープンした。

 下榎集落の一角にある工房は、広さ25平方メートルほど。古びたミシンが所狭しと並ぶ。型取り、裁断、手縫い、アイロンを使わないNI縫製…。休日などを使って全て1人でこなし、憧れの501XXが醸し出す風合いにこだわって仕上げる。1本2万5000円。とはいえ、目の肥えた愛好家をうならせるのは容易でない。「当時の縫製職人の技に追いついていない」と日々の研究に余念がない。

 作り手と買い手の関係を紡ぐため、対面販売に限定。来店する県内外の顧客の多くはリピーターだ。新型コロナで休業中は、デニム製マスクをネット販売。ビンテージ愛好家らが注文して経営支援した。

 自身のブランド名を表す革パッチには、日野町の町鳥・オシドリをあしらい、「時代の架け橋」を表す英文字が刻印されている。竹永さんは言う。

 「いろいろな人に感謝したい気持ちが強くなってきた。ビンテージジーンズの力で町に若者が根付き、活気づくよう役立ちたい」

2020年7月10日 無断転載禁止