しゃべりながらがいい ボードゲーム店、交流の場に

多種多様なボードゲームの棚を整理する池田典彦店長=松江市大草町、ホワイエピッコリーノ
 「しゃべりながらのゲームはやっぱりいいね」

 松江市大草町のボードゲーム専門店「ホワイエピッコリーノ」で、池田典彦店長(47)が愛好家たちと笑う。7月上旬の週末。20人がドイツ製のボードゲーム「カタン」で白熱していた。

 ボードゲームは新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められると、自宅でできる娯楽として注目を集めた。ただ、愛好家たちにとって、専門店に集まってワイワイとプレーするのが最大の醍醐味(だいごみ)だ。

 国内外約500種を扱う同店では販売に加えて、時間料金制で自由にゲームを楽しめる。平時は月に100~150人が来店していたが、県内で初めて感染者が確認された4月9日以降、客足はピタリと止まった。4~5月に店内で遊んだ客は数えるほど。店内でクラスター(感染者集団)が発生すれば経営の致命傷となる恐れがある。常連客にも来店の呼び掛けができず、1週間ほど店を閉めた時期もあった。

 「店が忘れられてしまう」

 危機感から会員制交流サイト(SNS)で毎日、商品情報や近況を発信し続けた。巣ごもり需要が幸いして、商品に関する問い合わせは多く、販売に注力することで何とか経営をやりくりできた。

 支えになったのは、常連客や遠方の友人からの応援だ。

 「この店がなくなっては困る。頑張ってほしい」

 支援する常連客たちは安くはない月間利用権を購入してくれた。背景には、客同士が店で知り合い、ゲームを通じて親交を深めていることがある。店は常連客たちの扇の要となっている。「店が『集まりの場』として求められていると実感し、奮起できた」と池田店長は力を込めて語る。

 政府による緊急事態宣言が解除されて以降、少しずつ常連客が顔を見せ始め、中止していた定例イベントも復活。現在は徐々に日常を取り戻しつつある。

 ただ、紙製のゲーム盤は消毒作業をしにくいという特有のリスクがある。入店時のマスク着用、手指の消毒、定期的な換気といったできる限りの感染防止策を施し、慎重に営業を続ける。

 長い自粛期間をはさんだことで、相手の表情や声色を感じながら、対決や協力するボードゲーム特有の魅力を改めて感じた。

 「今後も一緒にゲームを楽しみ、いつも通りもてなしたい」

2020年7月19日 無断転載禁止