きらめく星 火球
流れ星を見たことがありますか。あるとすれば、どれぐらいの明るさでしたか。流れ星は流(りゅう)星(せい)ともいいますが、極(きわ)めて明るい流星には特別な名前があって、火(か)球(きゅう)と呼(よ)ばれています。明るさがだいたい金星(きんせい)以上なら火球といえます。空のどの星よりも明るい流星とイメージすればよいでしょう。
普(ふ)通(つう)の流星と火球とは、明るさだけではなく多くの場合、成り立ちが違(ちが)います。流星のもとは、宇(う)宙(ちゅう)に散らばるたくさんのちりです。そのちりは、ほうき星とも呼ばれる数々の彗星(すいせい)がばらいまいたものです。ちりの大きさは数ミリ以下のものが多く、それらが地球の空気に大変な速さで飛び込(こ)んで光ります。
これとは別に、小(しょう)惑星(わくせい)と呼ばれる岩石のかたまりが、おもに火(か)星(せい)と木星(もくせい)の間にたくさんあります。はるか昔、小惑星同(どう)士(し)がぶつかるなどして壊(こわ)れたかけらが、時には地球にやってきます。彗星のちりより大きい、このようなかけらが地球の空気に突(とつ)入(にゅう)すると、多く火球として見られます。
ほとんどのかけらは空気の中で光ったときに蒸(じょう)発(はつ)してなくなってしまいます。しかし中には、なくならずに隕石(いんせき)として地上に届(とど)くものもあります。7月、関東地方で爆発音(ばくはつおん)とともに満月(まんげつ)より明るい火球が見られ、その後、隕石が発見されるという、まれなできごとがニュースとなりました。
普(ふ)段(だん)から星空をよく見上げるようにしていれば、流星はたびたび目にするでしょうし、火球も何か月か何年に1度は見られるでしょう。しかし、隕石の落下に出合える機会はめったにありません。一生に一度でも経験(けいけん)したいものですね。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)
2020年9月2日 無断転載禁止