松江の人形作家が津波テーマの鎮魂作品8年越しに披露

鎮魂の願いを込めたさ作品「青い海のかなた」を制作した、長岡哲生さん=松江市殿町、紫泉堂ギャラリー
 松江市東朝日町の人形作家、長岡哲生さん(71)が、東日本大震災で被害に遭った人々の鎮魂をテーマにした作品を市内で展示している。家族を失った宮城県内の作家仲間を思って手掛けた人形で、完成から8年を経て地元の松江で披露。「震災を思い返す機会にしてほしい」と願う。  

 長岡さんはデザイナーの後、2002年から人形制作に専念。松江市や東京都内で個展を開き、国内外の人形展で受賞歴がある。

 作品は「青い海のかなた」と題し、海辺に立つ少女を表現。足元にある、津波の瓦礫(がれき)から花が芽吹き、少女にカモメが寄り添ってくる情景を造形することによって、悲しみの窮地に立たされたとしても、いつか幸せはやってくるという願いを込めた。

 2011年3月に津波で両親や祖母を亡くした人形作家の仲間の境遇を耳にしたことが制作動機だという。粘土や和紙を使って12年に完成させたが、公開は控えてきた。

 震災から10年の節目が近づき、長岡さんは「第三者的に作品に向き合えるようになった」と展示を決めた胸中を明かし、「忘れてはならない出来事」と続けた。

 松江市殿町の紫泉堂ギャラリーで23日まで開催中の「秋の特選展」に並ぶ。

2020年9月21日 無断転載禁止