高級おせち予約が殺到 コロナで外出控え 家でぜいたく

正月餅といった年末年始用のセット商品を箱詰めする従業員=雲南市吉田町吉田、吉田ふるさと村
 年末年始を前に、山陰両県の食品製造業者や旅館に年越しそばと正月餅の詰め合わせ、高級おせち料理の予約が殺到している。新型コロナウイルスが再拡大して年末年始の旅行を諦めた分、ぜいたくな食事を楽しみたい消費者心理が垣間見える。帰省できない県外の親族に「古里の味」を送る人も多く、関係業者は年末に向けて原材料の発注を増すなど慌ただしく動いている。

 「おせちが例年より1カ月以上、動きが早い。異例の状況だ」

 松江市末次本町の老舗旅館・皆美館の料飲部マネジャー、大島崇義さん(47)は驚く。島根和牛やアワビ、車エビといった46品を盛り付ける本格おせち(3万7800円)が、受け付け開始の10月初旬から1カ月余りで限定50セットが完売した。「年末の旅行を諦めた人が早々と予約している印象がある」と話す。

 米子市奈喜良の食品製造・販売「米吾」も予約開始2週間でおせち(1万1千円~3万1千円、5種)がほぼ完売した。単価の高い商品から予約が埋まる傾向があるといい、足立龍應(たつまさ)営業部長(41)は「東日本大震災や鳥取中部地震があった年末と消費傾向が似ている。こんな時こそ、家族でぜいたくな食を囲もうという気持ちになるのではないか」と分析する。

 新型コロナは11月中旬以降、人口の多い都市部を中心に再び感染者が増加。盆休みと同様に、年末年始の帰省も見合わせる人が少なくないとされる。

 農産物の加工品を扱う雲南市吉田町吉田の吉田ふるさと村では6月に「ささ巻き」が平年比2割増の売り上げとなった。5月の連休に帰省できない県外の親族に送られたケースが多く、同社は年末も同様の傾向が出ると見込み、年越しそばや餅の詰め合わせの原材料を平年より1割強ほど多く発注した。

 同社農産加工部の堀江祐輔部長(44)は「『ふるさとのぬくもりを感じてもらう』が社の理念。帰省できない方々に、ぬくもりが伝わってほしい」と願った。

2020年11月27日 無断転載禁止