難病と闘いながら診療看護師を目指す 入院経験も糧に

リハビリに励む木村悦子さん=松江市内(本人提供)
 松江市の看護師が、靱帯(じんたい)が骨化する難病と闘いながら「診療看護師」(ナース・プラクティショナー、NP)認定を目指している。NPは、医師の指示がなくても事前に決めた手順に従って特定の医療行為ができる看護職で、島根県内で11人と少ない。患者として看護のあり方を考えさせられた現在のリハビリ入院生活の経験も糧に、キャリアアップして地域医療に貢献したいとの思いを強める。

 看護師は、木村悦子さん(47)=松江市玉湯町湯町。松江市出身で、大学卒業後、山陰両県内で主に臨床検査技師として勤務。子育てが落ち着き、幼い頃からの夢だった看護師になるため37歳で大学に入り直し、現在は訪問看護ステーションに籍を置く。

 異変が起きたのは2020年9月。寝違えと思っていたのが、だんだんしびれに変わり、握力がなくなって気付くとペンを落としていたことも。我慢しながら訪問看護の仕事を続けていたが、車の運転も苦しくなった。

 診断結果は、脊髄の中を縦に走る後縦(こうじゅう)靱帯が骨化して神経症状を引き起こす後縦靱帯骨化症。全国で特定医療費受給者証の所持者が3万1500人(2018年度)いる難病で、転倒の衝撃などで症状が進むリスクがある。「今度転んだら歩けなくなる可能性がある」と言われた。

 当時はショックと、仕事や生活への不安でいっぱいになった。

 20年4月に、NP資格取得のため県立大大学院に入学したばかり。訪問看護に携わる中で、在宅医療の需要の高まりを感じた。患者の生活全般に関われるNPとなって患者や地域住民、行政、福祉関係者をつなぐ懸け橋になりたいとの思いが原動力だった。元来、前向きな性格。「何ができるか、入院中も毎日考えている」と積極性を失わず、病床から大学院のオンライン授業にも参加した。

 20年12月に手術し、休職・修学で負担をかける同僚のためにも一日も早く復帰しようと松江市内の病院でリハビリに励む中、今まで当たり前に感じていた呼吸や食事をし、朝を迎える日々に感謝の気持ちが芽生えた。

 一方で、新型コロナ禍での医療従事者の心労を思う半面、何げない一言が患者の気持ちを傷つけると身に染みた。

 「患者には病の痛みだけでなく、心の痛みもある。寄り添うと言葉で言うのは簡単。看護師として、いい学びになった」と痛感。人に勇気や希望を与えられる医療者でありたいと誓う。

2021年2月19日 無断転載禁止