古道「一畑中道」に再び光 松江で地元住民が調査

地面から抜け、立てかけられた町石を手にする委員長の小林憲二さん(上)と副委員長の佐藤征治さん=松江市上大野町
 松江市西長江町から一畑薬師(出雲市小境町)まで延長約10キロで江戸時代以降に参拝者が通った古道「一畑中道」の調査が地元住民の手で進んだ。山中のルートは生い茂る草を刈りながら確認し、石の道しるべも新たに見つけた。5年間にわたる調査成果は今春、記録誌にまとめる予定で、地域の歴史資源として再び光を当てる。

 一畑中道は、宍道湖北岸の同市西長江町にあり「右一畑中道」と刻まれた石の道しるべが起点。島根半島中央部の山にある一畑薬師に向かって、時に山を越えながら直線的に伸びる。石の道しるべは1町(約109メートル)ごとにあり「町石」と呼ぶ。来待石製で番号が彫られ、過去の記録では87個あったとされる。

 現在でも平野部の一部ルートは生活道に使われるが、山中のルートは通る人がおらず、一畑中道の記憶も薄れかけていた。

 調査は、松江市大野地区の住民5人と大野公民館が2016年に一畑中道調査記録編集委員会を設けて進めた。地区外から訪れた人に尋ねられたことがきっかけ。1982年と94年に当時の公民館長などが手掛けた調査以来、まとまった資料がなく現状も不明で「地元の人間が分からないじゃ、いけん」と思い立った。

 調査の結果、土木工事などで本来の場所から移動された町石や、過去の調査で未確認だった町石も新たに発見。87個中、80個の所在を確認した。沿道にかつて宿屋や茶店があったという地域住民の貴重な証言も得た。

 編集委員長を務める小林憲二さん(74)=松江市上大野町=は「調査はとても懐かしく、楽しくできた。後世に残る資料にしたい」と話した。

2021年2月21日 無断転載禁止