ジャニーズ事務所の性加害問題を国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会が調査する事態となった。「深刻な人権問題」に事務所は正面から向き合う姿勢を見せないまま。専門家は、タレントを積極的に起用してきたテレビ局なども国際的な人権意識の高まりに企業として対応すべきだと説く。
「現社長は加害の事実認定を『容易ではない』とお茶を濁して謝罪したが、それは何に対しての謝罪なのか」。1982年に事務所に入った石丸志門さん(55)は憤る。
「少年隊」のバックダンサーを務めた石丸さんは「合宿所」に出入りし、夜になると同事務所のジャニー喜多川前社長から性加害を繰り返し受けた。翌朝にはお金を渡され、テレビの仕事にありつくこともあり「芸能界の通過儀礼で悪いことと思わず、こっちからも積極的に動いた」と語る。
ふとした拍子に喜多川氏の逆鱗(げきりん)に触れ、事務所にいられなくなった。長い間、記憶にふたをしたまま。今年3月、英BBC放送が報じた性被害の証言に触れ、ようやく自分が「同意のない性行為」を強いられたと気付いた。
「正気に戻って考えると気持ち悪いし、...