動きだすインド交流 〜経済視察団同行ルポ
首都ニューデリーの道路は小型車や三輪のオートリクシャー、バイクで埋め尽くされていた。朝夕の通勤時間帯を中心にした交通渋滞は慢性的に発生している。 |
富裕層向けに売られる中国製のマッサージチェアが並ぶニューデリーの高級ショッピングセンター。売り場には、製品を食い入るように見つめるファミリーイナダ(大阪市)の稲田壮秀取締役の姿があった。 |
「この就業体験制度は良い制度だ」
視察団はニューデリーで、インド在住の山陰両県出身者との懇親会も開催した。招いたのは、重工大手や商社、メガバンクの現地事務所トップら9人。 このうち、建機メーカー、コベルコクレーン(東京都)の現地法人の泉信介社長=松江市出身=は「インドは発展していくのは確実」と太鼓判を押し、地図情報大手・ゼンリン(北九州市)の二宮祐インド支店長=境港市出身=は「インドは、あわてず、あせらず、あきらめずの(頭文字をとった)3Aがキーワード」と助言した。 実務経験を踏まえた言葉に団員は勇気づけられ、9人とは今後も連携していくことを約束。力強い「応援団」を得た。 8日間で数々の種 在インド日本大使館や日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューデリー事務所、インド政府の商工、外務、観光3省などの訪問を通じ、山陰両県とインドの都市間友好提携についても議論の俎上(そじょう)に載った。 日中間の姉妹・友好都市の提携件数が349件なのに対し、日印間は6件しかない。インドは日本にとってはまだまだ“遠い国”だ。 団員は交流拡大の突破口にすべく、ともに湖を抱え「水の都」と称される松江市とケララ州など、提携の可能性を調査。引き続き検討することにした。 視察団は、山陰両県の企業が現地で事業展開するには、豊富な人的ネットワークが不可欠と実感。8日間でまいた数々の交流の種を実らせ、今後も広げていく考えだ。 盛り上がる機運 日印は昨年、国交樹立60周年を迎えた。それを記念し、30日からは天皇皇后両陛下が即位後初めてとなる公式訪問を予定。来年1月下旬には安倍晋三首相の訪印も確実視されており、交流拡大に向けた機運の盛り上がりも予想される。 帰路の途中、副団長を務めた細田重雄・島根県日印友好交流推進議員連盟会長は、今回の視察を振り返り力強く語った。 「山陰にとってインドを『近い国』にするため、産学官が手を取り合い、交流を前に進めていく」 |
山陰両県の産学官で組織する「山陰インド協会」が経済視察団を組み、2日から8日間の日程で行った初の訪印。インドの経済団体幹部との意見交換や、参加企業の現地での商談などを通じ、対印ビジネスの糸口を探った。近く、商談したインドの企業が団員の企業を訪問する予定も入り、相互交流に向けた成果も得られた。団長を務めた古瀬誠同協会名誉会長に、手応えや今後の展開について聞いた。 |