”音のない世界”で双子育児をしている夫婦/モモさん(twins_deaf)提供
”音のない世界”で双子育児をしている夫婦/モモさん(twins_deaf)提供

 「障害があるから育児ができない」という考えは違うと思っている」そう語るのはモモ 音のない夫婦・双子育児(@twins_deaf)さん。自身も夫も生まれつき耳が聞こえない2人の間に、生まれたのは双子の赤ちゃん。音のない日常での育児には「不安が大きかった」と語る一方で、聴覚障害があるからこそ感じられる特別な感覚や喜びもあるという。双子のお母さん・モモさんにその実態を聞いた。

【写真】聞こえないぶん”目”を最大活用 ”音のない夫婦”の双子育児の様子

■障害=不幸ではない「それぞれの形で生活していることを知ってもらえたら」

――“耳が聞こえない夫婦”として“双子育児”のリアルについて発信されていますが、投稿などの反響については率直にどのような印象を持っていますか?

【モモ】「障害があるから育児ができない」という考えは違うと思っています。SNSを通して、世の中には本当にいろいろな障害のある人がいて、それぞれの形で生活していることを知ってもらえたら嬉しいです。障害があるから不幸なのではなく、障害があっても幸せに生きられるということを、少しでも誰かの勇気につながる形で伝えたいと思っています。

――ご夫婦でお二人とも耳が聞こえない中では、日常生活でも工夫や大変な場面もあるかと思いますが、それでも「一緒に生きていこう」と思えた背景や決め手があれば教えてください。

【モモ】大変なことや不便なことは正直たくさんあります。でも、お互いに学び合い、協力しながら生きていけると思えました。何が起こるか分からない人生だからこそ、「家族」という存在が一番大切で、世界でたった一人の存在だと感じています。人生は簡単ではありませんが、この世界を一緒に味わいながら生きていきたいと思えたことが、決め手でした。

――子育てはどんな状況下にある人でも大変な部分は多いかと思います。1人育てるにあたっても容易ではない中で、双子を授かった時の率直な気持ちはどのようなものでしたか?

【モモ】正直、不安の方が大きかったです。初めての出産、初めての育児で、自信はありませんでした。でも双子を授かったと知ったとき、滅多にない奇跡のような出来事だと感じ、「きっと可愛いんだろうな」と、少しずつ前向きな気持ちが芽生えていきました。耳が聞こえないことで、泣き声にどう気づくのか、どうやってコミュニケーションを取るのかという不安はありました。それでも、産まれた瞬間は不安よりも喜びと嬉しさが一番大きかったです。

■耳が聞こえない双子育児「泣き方やしぐさから気持ちを読み取ることで、少しずつ対応できるように」

――実際に双子の子育てをしてみて、泣き声の違いが分かりにくい場面など、色々とあると思いますが、特に向き合い方が難しいと感じる場面はどういった点にありますか?

【モモ】一番難しいと感じたのは、泣き声の区別です。泣いているのが兄なのか弟なのか、声では分かりません。特に激しく泣いているときは、どう対応すればいいのか分からず、すぐに動けなかったことがとても辛かったです。

――上記のような場面を、どのようにして乗り越えていますか?

【モモ】まず、「自分を責めない」と決めました。頑張りすぎないことも大切だと思っています。辛いときは、一人で抱え込まず、夫や周りの人に頼るようにしています。声に頼るのではなく、表情や体の動き、目線などをよく観察し、泣き方やしぐさから気持ちを読み取ることで、少しずつ対応できるようになりました。自分たちなりの方法を見つけることを大切にしています。

――「聴覚障害」は「不幸」じゃなくて「個性」と発信されていますが、そう思えるまでにいろいろと苦悩もあったかと思います。実際にそう思えるようになったきっかけや、心に残っている言葉・存在があれば教えてください。

【モモ】これまで悩んだり苦しんだりした経験はたくさんありました。でも、それと同じくらい幸せな瞬間もありました。聴覚障害があるからこそ見える世界や、感じられることがあると気づいたとき、「不幸なのではなく、これは私だからなんだ」と受け止められるようになりました。

――逆に、聴覚障害があったからこそ、この大切さに気づけたのではないか?といったような自分なりの気づきは何かありますか?

【モモ】生きることは簡単ではないと感じています。それでも、聴覚障害があったからこそ、当たり前の日常のありがたさに気づけました。特に、必死に育ててくれた両親への感謝は忘れられません。「ありがとう」という言葉が、今も一番心に残っています。だからこそ、双子にも感謝と愛情の大切さを伝えていきたいです。

――最後に、双子のお子さんにはどのように育ってほしいと思いますか?

【モモ】私たちに対して、「障害があるから」ではなく、理解し、誇りを持ってくれる子に育ってほしいと思っています。また、私たちの大切なコミュニケーションである手話も好きになってくれたら嬉しいです。自己肯定感が高く、自立し、感謝の気持ちを忘れない人になってほしいと思っています。