山陰の選挙

深沢 義彦 氏

 任期満了に伴う鳥取市長選が27日投開票され、無所属現職の深沢義彦候補(69)=自民、公明推薦=が、共産党鳥取県委員会書記長で無所属新人の塚田成幸氏(58)=共産推薦=を寄せ付けず、3選を果たした。投票率は30・67%で、同じ顔合わせだった前回選を0・84ポイント下回り、過去最低を更新した。

深沢 義彦 氏ふかざわ よしひこ
肩書き 鳥取市長
政党 無所属
現新 現職
年齢 69歳
最終学歴 福井大工学部卒
最終更新日:2022年3月21日

第一声要旨

コロナ対応切れ目なく

 8年間、市政の課題解決に全力で向き合った。さらに将来に向けて鳥取市が力強く前進する時期にある。

 新型コロナウイルス禍の収束は見通せないが、これから地域の資源や可能性を生かしながら明るい未来を切り開く覚悟。コロナの影響を受けた多くの人への対応を切れ目なく続ける必要がある。コロナ禍を乗り越えた先の社会にも想像力を働かせないといけない。

 人づくり、仕事づくり、まちづくりを進める。制度のはざまにいる市民の重層的な支援、農林水産業の振興、中心市街地の活性化、旧庁舎跡地の活用など課題は多い。今回の選挙は争点がないと言われるが、そうではない。取り組みを具体的に進めていけるかが問われている。

候補者の横顔

魚料理は「家族一」の腕前

 「現場の感覚が自分にはある。新型コロナウイルス禍を何とかしたい」

 大学卒業後の1978年に市役所に入り、配属された耕地課で現場主義を身に付けた。住民と近い基礎自治体の長として、手探りで続けた新型コロナ対応の経験を生かすことが必要だと自身を奮い立たせる。

 妻、長男、次女夫婦と孫の6人暮らしで、多忙な公務の疲れを癒やすのは家族との時間。「おじいさんがやり過ぎるというのもちょっと」と控えめながら、生後10カ月の孫と遊ぶのが気分転換だ。

 周囲からは「酒飲み」と称され、晩酌のつまみは自分で作ることも。漁師町・賀露で育ち、海産物の調理は「家族で一番」と自負。刺し身や煮付けにして家族と旬の食材に舌鼓を打つ。

 多彩な趣味の一つがギター演奏。時代の流行に乗って中学生の頃、手に取った。90年代にスペインの名工に作ってもらったという数百万円の名器を愛用する。バッハなどの楽曲を弾き、子どものリクエストにも応える。

 座右の銘は「道の道とすべきは、常の道にあらず」という中国の思想家・老子の言葉。世の中で良いとされる生き方が絶対ではないといった意味で、やり方を一つに決め付けない柔軟性は市政運営にも生きる。

 鳥取市賀露町北4丁目。

政策アンケート

各250字以内で回答してもらった

【リーダー像】経歴や経験を踏まえ市長候補としてセールスポイントと、市政運営の基本方針は。
 44年間、市行政に携わってきた経験があり、地方自治全般やその歴史、関係諸制度には、ある程度精通しているという思いは持っている。また、将来を見据えながら、市民の皆さまに、正しいと確信することは誠意を持って伝え、理解を得る努力を続けてきた。これまで培ってきたこれらの経験を今後の市政運営のあらゆる場面で最大限生かし、市政を取り巻く環境が日々目まぐるしく変化していく中で、迅速的確に判断し、将来を見通した取り組みを力強く進めたいと考えている。

【重点政策】産業振興、観光交流、インフラ整備、教育、医療、福祉などさまざまな政策分野の中で特に力を入れたい分野と具体策は。
 いずれの分野も課題は山積しており、待ったなしの状況だが、現在行っている新型コロナウイルス対策をはじめ、コロナ収束後を見据えた地域経済の立て直しと、市民が生き生きと暮らしていくことのできる新しい社会づくりが重要課題。このたび策定したコロナからの復興・再生プラン「明るい未来プラン」に基づき、「人を大切にするまち、鳥取市」を合言葉に、全ての市域の均衡ある発展と、住んで良かった、住み続けたいまちとなるための取り組みをしっかり進めていく。

【新型コロナ対策】新型コロナウイルス禍が続く中、感染防止と地域経済活性化にどう取り組むか。コロナ禍後を見据えた布石は。
 市役所全庁が一丸となって保健所の体制を強化し、積極的な疫学調査により感染拡大防止に努める。また、市民に、マスクの着用、手洗い、3密の回避などの基本的な感染予防策の徹底を呼び掛けるとともに、ワクチン接種を希望する方への円滑な接種に向けてしっかり取り組んでいく。また、長引くコロナ禍で影響を受けた中小事業者の経営の下支えを行うとともに、アフターコロナを見据えて新分野への参入や業態転換などを図っていくための支援も充実させる。併せて観光回復施策にも取り組み、地域経済の復興、活性化につなげていく。

【安心安全】全国で災害が相次ぎ、防災のニーズは高い。新型コロナウイルス禍で顕在化した社会的弱者の支援も急務。安心安全な暮らしをどう実現するか。
 近年の災害は激甚化が進み、災害対応の高度化や、きめ細やかさが求められ、災害に強いまちづくりは、一層重要度を増している。市民の皆さまの生命と財産を守るため、「自助」「共助」「公助」を柱とし、自主防災会の育成や浸水対策の実施、避難行動要支援者に対する支援制度の普及促進など、防災・減災に向けた取り組みを市民や関係機関との協働により推進していく。また、災害情報の収集や発信にデジタル技術を活用し、市民の迅速な避難行動につなげるなど、誰一人取り残さない災害に強いまちづくりに取り組んでいく。

【人口減少対策】少子高齢化が進む中、持続可能なまちづくりをどう描くか。また、子育てや移住定住策など人口減少対策の取り組みは。
 本市の人口減少対策では、特に転出超過が著しい若年層の増加対策が重要と考える。そのため、地方創生の取り組みを充実強化し、結婚・妊娠・出産・子育て・教育などへの切れ目ない支援、また成長産業の育成はもとより、求められている事務系企業の誘致など、若年層の定住促進につながる取り組みを一層推進していく。一方、高齢者人口の急速な増加に伴い、医療や介護、福祉など多様な地域ニーズに対応する重層的支援体制の構築も重要。誰もが「暮らしやすく、住み続けたいまち」になるよう、こうした施策を総合的に推進していく。

【圏域の将来像】鳥取県東部5市町と兵庫県北部2町の「麒麟(きりん)のまち圏域」のリーダーとして圏域の発展や鳥取市の役割をどう考えるか。
 全国的に人口減少が進む中、地域経済の縮小や、公共サービスの持続的な提供などが懸念されている。そのため、古くから生活圏・経済圏を一体とする麒麟のまち圏域の1市6町が連携し、これまでも移住定住促進、観光振興、医療・福祉などの各施策を推進してきた。将来にわたり住民サービスの水準を維持するためには、現在の連携を一層強化していくことが必要であり、引き続き本市がけん引役となり、圏域全体の活性化・発展に向けて積極的に取り組んでいく。

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