ミステリアス島根半島~四十二浦巡り・ジオパーク探訪~
豊かな自然と歴史に彩られた島根半島。ここで受け継がれる信仰習俗の「四十二浦巡り」を中心に、「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」に認定された独特の地質地形についても学び、半島の魅力を再発見する座学です。
◆時 間/全日13:30~15:00
◆受講料/6,600円(3ヶ月ごと3回分)
◇ミステリアス島根半島~四十二浦巡り・ジオパーク探訪~ チラシ(pdf)
2024年10月~12月
■10月19日(土)
【1】四十二浦巡礼再発見、関和彦博士
160年前、平田の宇美神社総代小村和四郎が大根島の風土記社を訪ねた時に「神社巡りならこれを差し上げる」と「出雲四十二浦之垢離取(こりとり)歌」の版木印刷物を受け取りました。
その記録を古代史研究者の故・関和彦博士が島根県立図書館で発見し、四十二浦巡り再発見研究会の設立につながった不思議な経緯を説明します。
併せて、「垢離取歌」の版木を借り受けて版木印刷を体験。印刷物は記念品とします。
◆講 師/島根半島文化研究者(研究会事務局長)木幡 育夫
■11月16日(土)
【2】島根半島はミステリアス空間
神話半島と呼ばれる島根半島の西端、大社町の出雲大社、日御碕神社を中心とするミステリアスな歴史空間を物語ります。
鷺浦は航海時代の商港として、また石灰を産出して栄え、当時は土地の価格が出雲大社付近よりも高かったことなど、全国・隠岐の島ルートなどの海路発展の歴史を伝えます。
◆講 師/研究会副会長(元大社町長)田中 和彦
■12月21日(土)
【3】四十二浦を歩く(1)出雲大社~小伊津
出雲大社から出雲国風土記に記録されている猪目の洞窟までを歩くと出合える、浦々の知られざる見どころを解説します。
稲佐の浜、日御碕の経島、十六島の海苔(のり)、塩津の石神のことなどを話します。また、トレッキングコースやウオーキングコースについても紹介します。
◆講 師/出雲国ジオガイドの会 前事務局長 三代 隆司
2025年1月~3月
■1月18日(土)
【4】巡礼結願の寺 一畑薬師
島根半島四十二浦巡り結願の寺一畑薬師は創建から1100年の古刹(こさつ)で、「目の薬師」として全国に広く知られます。
親孝行な漁師がある日お薬師さまを海中からすくい上げて、一畑山に祭ったという民衆信仰の原点を探求し、一畑薬師信仰と四十二浦巡りとの合流を考えます。
また、悟りを求める臨済禅を体験し、短時間ですが一畑薬師の歴史を体感します。
◆講 師/一畑薬師管長(研究会会長)飯塚 大幸
■2月15日(土)
【5】鰐淵寺と韓竈神社
四十二浦巡りの垢離取歌を伝えたとされる武蔵坊弁慶が修行したといわれる鰐淵寺には、スサノオノミコトを祭る摩蛇羅(まだら)神社が鰐淵寺本堂と並び祭られて、
近くの韓竈(からかま)神社には安産の神様としてスサノオノミコトが祭られている不思議などを、出雲大社の北側に位置する鰐淵地区について編集刊行した「鰐淵探訪」により紹介します。
◆講 師/前鰐淵コミュニティセンター長 高橋 一夫
■3月15日(土)
【6】地質学から見る島根半島西部地域
半島西部地域の海岸に潜む不思議、出雲国風土記にある猪目の洞窟の記述と周辺海岸に見える複数の黄泉(よみ)の穴洞窟の伝説を、地質学の立ち位置から解説します。
出雲国風土記に記述されている海苔(のり)の産地である三津や小伊津の洗濯岩、海底が立ち上がった唯浦の直立層などを例に日本列島の成り立ちを話します。
◆講 師/島根大学名誉教授(ジオパーク専門員) 野村 律夫
2025年4月~6月
■4月19日(土)
【7】四十二浦を歩く(2)坂浦~美保関
坂浦から古浦、惣津、そして美保関まで、島根半島の中部、東部を歩くと出合える、浦々の知られざる見どころを解説します。
イザナギを祭る古浦の男島(おしま)、御津浦の小島(おしま)などを紹介。トレッキングコースやウオーキングコースについても話します。
◆講 師/出雲国ジオガイドの会 前事務局長 三代 隆司
■5月17日(土)
【8】雲南のスサノオ伝説と島根半島
雲南地域のスサノオ伝説、稲田姫、その両親テナヅチ、アシナヅチ、ヤマタノオロチのすみか、これらの神話が、半島西部地域のスサノオ伝説とどう関係するのか。
たたら技術と斐伊川の流域を巡る伝説の現場を解説し、古代史の風景と現在を見比べながら、雲南地域の観光名所を紹介します。
◆講 師/日本地名研究所理事 吉山 治
■6月21日(土)

【9】赤浦と半島中央部の魅力
一畑薬師の御本尊が出現された赤浦の近くには、オオクニヌシノミコトの御子神タキツヒコノミコトを祭るという巨石がそそり立つ立石神社があります。
その神を案内したという老婆を祭る老母石(うばいし)神社があり、荒ぶる老婆の伝説もあります。北山山脈南側の烏帽子岩などと合わせ、その不思議な石神の光景を紹介します。
◆講 師/小伊津ビジターセンター代表 服部 昌幸
2025年7月~9月
■7月19日(土)
【10】スサノオ伝説と須我神社
古事記で神社として最初に記載されている須我神社はスサノオノミコト・稲田姫を祭ります。
奥出雲町や雲南市に伝わるオロチ退治の後、稲田姫と生活を共にし、「八雲立 出雲八重垣つまごみに 八重垣作る その八重垣に」が歌われ、
和歌発祥の地ともされています。島根半島の日御碕神社に至るスサノオ伝説の大きな節目となる須我神社の伝承を話します。
◆講 師/須我神社宮司 勝部 和承
■8月23日(土)
【11】佐太神社と加賀の潜戸
豊臣秀吉による朝鮮出兵の帰りに乗組員8人がそれぞれの郷里の神を祭ったという魚瀬の八神神社や、
出雲国風土記に記述される加賀神社の祭神で佐太神社の祭神佐太の大神を生んだ支佐加比売命を祭り、
白木の鳥居が立てられている潜戸の洞窟などを紹介。島根町野波の日御碕神社に明治時代から伝わる「ガッチ祭り」の意味も解説します。
◆講 師/出雲国ジオガイドの会ガイド(研究会幹事)寺本 静治
■9月20日(土)
【12】半島東部の地質の不思議
半島東部の海岸に潜む興味深い地層、岩脈を解説します。半島西部にもあった鬼の洗濯岩、潜戸の洞窟の不思議な連続地層の風景、
マグマがさく裂した桂島の車石、瀬崎の瓢箪(ひょうたん)池やマグマが立ち上がった火道、柱状節理が横に積みあがった菅浦の木島、
広場のように岩盤が広がる法田の波食棚など、ジオサイトの神秘をドラマチックに紹介します。
◆講 師/島根大学名誉教授(ジオパーク専門員)野村 律夫
2025年10月~12月
■10月18日(土)
【13】出雲地方に伝わる荒神祭
出雲地方に広く見られる、藁(わら)で蛇体を作り神木に巻き付ける「荒神祭」は、国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されています。
この荒神祭の出雲地方の特徴、荒神祭の全国的風習について、神楽・荒神祭の研究者が解説します。
◆講 師/中村元記念館東洋思想文化研究所研究員 中野 秋鹿
■11月15日(土)
【14】神話に彩られた美保関
国譲り神話が神事として伝わる美保神社。オオクニヌシノミコトから御子神コトシロヌシノミコトに国譲りの判断を求める諸手船(もろたぶね)神事や、
国譲りの決断後、海中に没して再生するという青柴垣神事の不思議な行事を解説。化石にその葉が発見されたというクロモジの木に小さい餅を実のように取り付ける「もち花」の正月行事から、
美保関の伝承文化をひもときます。
◆講 師/美保神社責任役員(研究会副会長)三代 暢實
■12月20日(土)
【15】一畑薬師信仰の広がり
一畑薬師の宝物、書院、庭園、お薬師さまが出現された赤浦の燈明岩の祭礼行事、一畑薬師園庭にある古代史研究者関和彦先生顕彰碑、
島根半島四十二浦巡り記念碑、四十二浦巡りビジターセンターなどを紹介しながら、一畑薬師信仰の広がりを考えます。悟りを求める臨済禅(2回目)で締めくくります。
◆講 師/一畑薬師管長(研究会会長)飯塚 大幸