松浦 基明氏
松浦 基明氏

新政権と解散・総選挙の行方

 年内解散ないのでは

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が29、30日、浜田、益田両市であった。共同通信社編集局次長の松浦基明氏(54)が「新政権と解散・総選挙の行方」と題して講演し、無派閥で自民党総裁の座をつかんだ菅義偉首相の党内基盤が不安定な点に触れ「年内の解散はないのではないか」との見通しを示した。要旨は次の通り。

 一見地味で、華があるわけではない菅氏がなぜ、総理・総裁候補に浮かんだのか。やはり新型コロナウイルスの影響が大きい。学校の一斉休校要請、休業に絡む補償の問題、一律給付金の支給遅れなど、コロナ対応で多くの目詰まりがあり(次の総理には)行政手腕が求められた。新顔ではなく、危機管理に司令塔になれる人物との共通認識が政界の中に出来上がった。

 ただ、総裁選を圧勝したものの、早くも不協和音がある。総裁選の支持表明で二階派を除く麻生派、竹下派、細田派がそろって会見したのは驚きの光景だった。細田派と竹下派は二階派への警戒感が強い。無派閥の菅氏は基盤が弱く、派閥に気を使わざるを得ない。党役員人事は主要5派閥に均等に割り振る形となった。中には明らかな論功行賞人事もある。組閣でも、安倍晋三氏の実弟である岸信夫氏を防衛大臣として初入閣させるといった気遣いが表れた。

 解散総選挙を見通すのは難しいが、菅氏自身は早い時期の解散には慎重だ。前回衆院選で自民党は284議席を得て、取り過ぎなほど圧勝した。次は減らすことになるだろうが、そうなれば、二階派主導に反発する人たちが、菅氏の足を引っ張りにかかる。基盤が不安定なため、下手をすると菅下ろしが始まりかねない。年内解散はしないと思う。年明け後も通常国会の冒頭解散はコロナ禍で政治空白をつくることのハードルは高く、夏は都議選とのダブル選を嫌がる公明党に配慮し、できない。解散時期は(来年10月の任期満了に近い)後ろの方になるのではないか。

 「ポスト菅」を考えたとき、石破茂氏はどうか。世論の人気は高いが、国会議員の支持が得られない状況では、小泉純一郎氏が総裁選を勝った時のように、党が危機に直面し、石破氏を頼らざるを得ないような場合しか(チャンスは)ないのではないか。他の議員より言葉に力があるのは間違いないが、ハードルは高いだろう。