堤防が沈下し、欄干に60センチの段差ができた妙見橋=出雲市西園町
堤防が沈下し、欄干に60センチの段差ができた妙見橋=出雲市西園町
堤防が沈下し、欄干に60センチの段差ができた妙見橋=出雲市西園町

 斐伊川放水路事業による神戸川(出雲市)の築堤工事の影響で、出雲市西園町や大島町の一部など同川沿いの計約7・5キロ(右岸4・7キロ、左岸2・8キロ)で地盤沈下が発生し、住宅や納屋など少なくとも164件で傾きや外壁の亀裂が確認されたことが25日分かった。想定より地盤が弱く、堤防が沈み込んだことが原因。60センチ以上沈下した場所もあった。同事業を直轄する国土交通省は12月に約260億円かけて、抜本的な対策工事に着手する。(曽田元気)

 築堤工事は1993年に開始。現場のボーリング調査の結果から、下層の粘土層は比較的堅いと判断し、築堤による沈下の影響は少ないと想定した。

 2002年に周辺での地盤沈下を初確認。13年の堤防完成後も沈下は続き、西園町の一部では30年間で50センチ以上進行し、妙見橋の基礎は63センチも沈下した。

 国交省は14年に調査を始め、今年3月に下層の粘土層が想定以上に柔らかいことが原因と結論づけた。抜本的な対策として、堤防を地中で支える26メートルの鋼矢板(こうやいた)を45メートルに変更し、粘土層の奥まで新たに打ち込む。

 改修事業費は約260億円で、12月に着工し、完了見込みは来年3月。18年以降、被害を受けた住宅など164件を補償対象とした。斐伊川放水路事業を含む斐伊川直轄河川改修事業の事業費総額は、約302億円増の1415億円。対策工事費の6分の1に当たる約43億円は県が負担する。

 国交省出雲河川事務所の大賀祥一副所長は「実害が出ていることを真摯(しんし)に受け止め、一日も早い補償をし、矢板の設置で沈下を解消したい」と話した。

 地盤沈下の発生は、25日の島根県議会の建設環境委員会で県が明らかにした。11月1日の有識者らによる斐伊川水系河川整備アドバイザー会議で事業費増額の妥当性を審議する。

 

▼斐伊川放水路事業と神戸川の拡幅 斐伊川放水路事業は、1972年7月の豪雨災害を受け、斐伊川、神戸川上流の尾原・志津見両ダム、松江市の大橋川改修と共に行われた「治水3点セット」の一つ。放水路の整備によって、水を流す先の神戸川を拡幅し、盛り土による堤防が2013年に完成した。