金 堅敏氏
金 堅敏氏

中国経済と日系企業の役割

 優位性生かしビジネス展開

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が10、11日、浜田市、益田市でそれぞれあった。「中国経済と日系企業の役割」と題し富士通総研(東京都港区)の金堅敏(ジンジャンミン)主席研究員(58)が講演。中国で、日本の技術の高さや伝統文化への評価が高まっており、日本企業は優位性を生かしてビジネス展開すべきだと強調した。要旨は次の通り。

 中国は高度成長期から安定成長期に入った。経済成長率は当面5~6%で推移するのではないか。考え方が「量」から「質」へと転換しつつあり、環境問題など、高度成長期にはあまり目を向けられることがなかったことが重視されてくるだろう。

 消費者ニーズも「モノ」から「コト」に変わってきており、中国企業の品質やサービスでは満足できない中国人は、日本の製品を買い、サービスを受けようとしている。特に健康に対する関心は高まっており、大きな市場になるだろう。

 日本の人気ぶりは「独身の日」(毎年11月11日)と呼ばれる、インターネット通販各社の値引きセールでも見て取れる。1日で楽天の年間売上高を上回る大きなイベントだが、輸入品で一番売れているのは日本製品だ。パッケージ、品質が良いから、みんなが欲しがるのだろう。

 中国ではここ数年、若者を中心に日本の再評価が進んでいる。日本で何十年前に開発された技術が、今も使われているからだ。中国は「デジタル」の技術は進歩しているが、日本は「リアル」の強みがある。その点に日本人はもっと自信を持つべきだ。

 日本の伝統芸能も注目されている。中国共産党の教育機関の関係者が来日した時に能を鑑賞してもらったことがあるが、文化的、精神的な面を理解しくぎ付けになっていた。中国では競争が激しく精神的に弱っている人が多いことが、日本の伝統文化を受け入れる素地となっている。そういう意味で島根県西部に根付く石見神楽は素晴らしい資源だ。ストーリー性をうまくデザインすれば、中国人にも受け入れられるだろう。