高校2年の1年間を県内で過ごす「しまね高2留学」の1期生・四ノ宮有理沙さん(17)=東京都出身=が2021年春から津和野高校(津和野町後田)で学び、成長した。東京都内の在籍校と比べて少人数の環境で積極的になったと振り返る。3月の留学終了を前に「津和野での経験を生かし、いろんなことにチャレンジしたい」と誓う。
中高一貫校・恵泉女学園(東京都世田谷区)に在籍。新型コロナウイルス感染拡大で自分と向き合う時間が増え、将来のために視野を広げようと、しまね高2留学の説明会に参加。生徒の生き生きとした表情と、自分がやりたいことに取り組む「マイプロジェクト」に魅力を感じ、津和野高校への留学を決めた。
1学年が200人の恵泉女学園と比べ、津和野高は70人と3分の1の規模。授業で発言する機会が増え、総合探求の授業など社会人と接する機会が多い学校生活にも刺激を受けた。「苦手だった人前で話すことに抵抗がなくなり、積極的に動くようになった」という。
数々の史跡と豊かな自然が残る地域の環境にも癒やされた。イベントに出向き、旧堀氏庭園や茶園で特技のバイオリン演奏を披露するなど、数え切れない思い出を作った。津和野城跡は居心地の良いお気に入りの場所で、休日には友達と登って弁当を食べ、おしゃべりしながら楽しんだ。
下宿の大家が作る料理が毎日の楽しみで、苦手だったキノコも食べられるようになった。地元住民とバーベキューでイノシシ肉を食べたり、カフェの手伝いやタケノコ採りに行ったりと都会地ではできない体験を味わった。
担任の朝槻真也教諭は、自分を変えようと目的意識を持つ四ノ宮さんの学校生活を評価し「こんなに頑張っている生徒が帰ってしまうのは寂しい」と惜しむ。
四ノ宮さんは「充実した1年間で、優しい津和野の方々には感謝してもしきれない。今度戻った時には恩返しをしたい」と、にこやかな表情を見せる。
21年度のしまね高2留学は四ノ宮さんを含め東京、大阪、宮城3都府県の高校生4人が津和野、三刀屋、隠岐島前3高校に留学。22年度、津和野高校では神奈川、広島両県の2人を受け入れる。
(石倉俊直)