ジャーナリストの五味洋治氏
ジャーナリストの五味洋治氏

韓国大統領選と東アジア情勢の見通し
 大きな変化、和解の機会に

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が22、23の両日、松江、米子両市であった。朝鮮半島情勢についての著書が多数あるジャーナリストの五味洋治氏(63)が「韓国大統領選と東アジア情勢の見通し」と題し、ロシアのウクライナ侵攻も背景に変化を求められている日本外交を展望した。要旨は次の通り。

 専門家の多くが予想できなかったロシアによるウクライナ戦争で世界が変わった。プーチン大統領が核兵器使用をちらつかせる発言をし、本当に使われる恐れが高まっている。核を持たなければ無力との意識が世界に広がっている。米国はもはや世界の警察官にはなってくれず、各国が同盟強化などに努力する時代になる。

 韓国大統領選は、この大きな変化の中で実施された。大接戦の末、保守系最大野党「国民の力」の尹(ユン)錫悦(ソンニョル)氏が、与党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)氏に僅差で勝利した。尹氏の「未来志向の韓日関係をつくる」といった発言は現大統領の文在寅(ムンジェイン)氏とは正反対で、日本とも仲良くする必要があるとの意識が表れている。ウクライナ情勢が示すように孤立すると誰も助けてくれないのが国際政治の冷たい現実だ。多くの同盟関係を築く重要性が認識された。尹氏はウクライナ情勢の影響を間違いなく受けている。

 アジアにも、ウクライナ情勢と同じ構図がある。中国と台湾の関係だ。中国は台湾に対し、早ければ2024年にも軍事行動に出ると言われている。今秋には習近平氏の国家主席の任期が事実上撤廃される。習氏は歴史に残る成果がほしいと考えているはずで、それが台湾の併合だ。

 ブロック化する世界の中で、日韓の接近は必然といえる。竹島問題をはじめ日韓には簡単に解決できない問題があるが、悪化させない方法はある。韓国大統領が代わるのを和解の機会として生かしてほしい。

 (勝部浩文)