デビューから約30年、執筆ペースを落とさず時代小説からエッセーまで多ジャンルにわたり書き続ける、作家の浅田次郎さん。新作では「ふるさと」をテーマに、都市生活者の孤独やひとときの幸福を余韻たっぷりに書き込んだ。「夢を与えるのが小説の使命」。そう語る原動力は、三島由紀夫の死を契機に入隊した陸上自衛隊で培った経験、そして体力だ。

▽衝撃的で八方破れ

 子どもの頃...