大きさや形がさまざまで、市場出荷されない飯南町産のシルクスイート「森の絹」(提供)
大きさや形がさまざまで、市場出荷されない飯南町産のシルクスイート「森の絹」(提供)

 栽培適地の島根県飯南町で高糖度サツマイモを生産する(株)なつかしの森(島根県飯南町花栗、本田裕基社長)が規格外品の販売に乗り出した。糖度45度以上と果実を上回る甘さを持ちながら、一般市場に出荷できない約8トンを有効活用し、ファン拡大による売り上げ増とフードロス(食品廃棄)削減につなげる。

 サツマイモは標高390~560メートルで糖度が高まると島根大の研究データで示され、高原に位置する飯南町は、昼夜の寒暖差に加えて土壌の栄養価にも恵まれており、サツマイモの甘さを引き出す環境が整う。

 国道54号の道の駅とんばら(同所)でカフェ経営などを手がける同社は、2017年から町内で栽培されるサツマイモの品種・シルクスイートを「森の絹」と銘打ってブランド化を推進。地元農家への委託を中心に無農薬・無化学肥料で年間50~60トンを生産してきた。

 このうち、サイズや形状がまとまっていない規格外品が毎年1割程度生じるといい、従来はペーストなどの加工品にして販売してきたが、製造コストがかさむ上に、他産地との差別化が難しかった。
そのため、22年産はクラウドファンディングを通じた販売を企画。新商品に敏感で、SDGs(持続可能な開発目標)に関心を寄せる層が多く利用する専用サイトを選び、ブランドを情報発信することで長期的な顧客獲得を図る考えだ。

 1月31日まで予約を受け付け、2月から発送。早期の購入者には価格を据え置いたまま2キロを5キロに増量するなど特典を付けながら、完売を目指す。本田社長は「廃棄される物にも価値を付けて売り出し、農家さんに喜んでもらえることをしていきたい」と話した。

 予約はクラウドファンディングサイト「Makuake」で受け付ける。URLは、https://www.makuake.com/project/mori_no_kinu/