短歌 安部歌子選

新米は少しお預け米櫃に去年の米ある一人の暮らし        雲 南 〓(難の旧字体)波紀久子

 【評】一粒の米も大切にと育ってきた世代の人の歌であろう。作者のつましい静かな暮らしが見えてくる。暮らしの中の素材をうまく切り取った。

思ふほどさばけぬ筆に吐息つく老いの手習ひけふも筆執る     出 雲 花田 敦子

 【評】思うほどさばけないことに老いを感じる作者。吐息をつきながらも挑戦を続けようとする思いが結句から伝わってくる。気力はまだ健在。

受診日に駐...