ポップサーカス松江公演(山陰中央新報社、TSKさんいん中央テレビ主催)が7月17日、開幕する。松江公演を前に、兵庫県西宮市で開かれている公演を取材した。13カ国のトップパフォーマーが繰り出す多彩でダイナミックな演技は予測不能な緊張感と恐怖感があり、2時間があっという間に過ぎていった。公演の様子を伝える。
今月中旬、サーカスの会場を訪れると、開演前から長い列ができていた。入場ゲートをくぐると、冷たい飲み物やポップコーン、グッズ販売のカラフルな売店が目に入り、お祭りの雰囲気が漂っていた。パフォーマーと記念撮影する来場者も。蒸し暑い屋外と違い、ピンク色の特大テント内は涼しく快適だ。
サーカスの幕明けは、クラウンの滑稽なダンス。熱気が出てきたところで、赤い燕尾(えんび)服を着た案内役が登場し、各国のパフォーマーたちが華やかなダンスを披露。オープニングから世界観に引き込まれた。
続くパフォーマンスは圧倒的なパワーと美の共演だった。エチオピアの7人によるアクロバット技「アフリカンハンドボルテージ」は、道具を使わず、屈強な体の男たちが力を合わせ、1人を放り投げた。3人が縦に並ぶ人間タワーの頂上に着地すると、観客から大きな拍手が起こった。
一方、ベトナムの女性による「エアリアルフープ」は、生のバイオリン演奏とともにしなやかで美しい演技を披露。輪を使って回転し、足の力だけで逆さまになる技に、思わずうっとりとしてしまった。
ひときわ歓声が上がったのは「デスホイール」。両極の輪の中にパフォーマーが入り、止まらない観覧車のように高速で回転し続ける。輪の中にとどまるだけでもすごいが、パフォーマーは目隠しをしたり、縄跳びをしたり、外に飛び出したり。輪の外から落ちそうになる場面では、観客から「きゃーっ」と悲鳴が上がり、こちらも息をのんだ。
最後を締めくくったのは「空中ブランコ」。パフォーマーは天井すれすれまで達し、思わず「危ない」と心の中で叫んでいた。終わっても会場には、興奮の余韻が漂い、同じ会場で観覧した女性は「映像で見るよりもずっと迫力があった」と満足そうだった。
テレビや動画サービスと違い、演者と同じ空間を共有し、何が起こるか分からない臨場感こそサーカスの醍醐味(だいごみ)だ。松江公演が一層楽しみになるとともに、多くの人にこの興奮を味わってほしいと思った。 (報道部・井上雅子)
▼ポップサーカス松江公演
松江公演は、7月17日から9月18日まで(毎週木曜と7月19日、8月30日、9月6日は休演)、松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地広場で開催する。問い合わせはポップサーカス松江公演事務局、電話0852(67)7960。