第三章 宝船(二十)

 なにごと。

 寅蔵は大風呂敷で行李重ねを包みながら気になって仕方がない。首を伸ばして盗み見た。上唇と下唇をきっかり合わせ直せば鼻の下が長く下がり、鼻の穴は広がる。...