高校魅力化前夜の苦労と波及力を語る岩本悠さん(左)=島根県海士町福井、隠岐島前高校
高校魅力化前夜の苦労と波及力を語る岩本悠さん(左)=島根県海士町福井、隠岐島前高校

 島根県海士町福井の県立隠岐島前高校で18日、創立70周年記念式典があった。記念講演では、生徒数減少で廃校の危機に直面した約15年前、地域と学校が一緒になってV字回復につなげた高校魅力化に深く関係した3人が当時を振り返り、未来を展望した。

 登壇したのは地域・教育魅力化プラットフォームの岩本悠代表理事(46)と吉元操前副町長(65)、海士小学校の浜板健一校長(60)。

 吉元さんは町が財政難に陥った20年前に「教育が(小さな力で大きな効果を生む)レバレッジポイントになる」と、同校へのてこ入れを決意した。岩本さんは2007年から9年間取り組んだ同校魅力化の流れを説明。当初は町と同校の連携が難しく、島留学は「問題ある子が流されてくる」と厳しい言葉が投げかけられた。しかし「生徒が生徒を呼んでくれた」と言い、地域と一体になった試みが島留学を促したとした。

 浜板さんは社会教育主事として島前3町村を回って調整を進め「関係者をつなげて力を合わせて成し遂げられた」と振り返った。

 岩本さんは「僻(へき)遠の地で上がったのろしが、他の地域にある高校をどんどん変えている。失敗を恐れずにチャレンジを続けてほしい」と、同校の新たな取り組みを期待した。

 式典では、西ノ島町の美田八幡宮田楽「十方拝礼(しゅうはいら)」や海士町の隠岐民謡グループの舞台も披露された。

 (鎌田剛)