―島根県立中央病院の役割は。
高度で専門的な医療を担う県の基幹的病院として、年間2万人を超える救急患者の受け入れなどの急性期医療を担っています。約160人の医師や約600人の看護師、そのほかのスタッフを含め、地域医療を守る「最後の砦」と考えて業務に当たっています。物価高や円安で経営は厳しいですが、精度の高い診断と治療を安全に行うため、医療機器や環境を整備し、県民が必要とする医療を可能な限り提供します。

 

―ドクターヘリ(ドクヘリ)の運用が始まってから、6月で15年を迎えます。
東西に長く、中山間地域や離島も抱える島根県で、基地病院の当院からおおむね40分以内で到達できるドクヘリは大きな役割を果たしています。年間出動件数は500回以上、総計では8千回に達しました。患者の状態によっては出動先の近隣の病院に搬送することもありますので、県内外の病院と連携し、迅速に対応していきます。

―医療サービスの向上のため、さまざまなシステムを導入されています。
業務にDX(デジタル・トランスフォーメーション)を取り入れ、働き方改革も含めた効率化に努めています。2月にはクレジットカードによる医療費後払いシステムの運用を始め、会計の待ち時間短縮につなげています。また、総合診療科と小児科では人工知能(AI)が患者ごとに症状に応じた質問を自動で行う「AI問診」を導入しました。伝え漏れを減らすことが期待できます。

 

―県内の医師不足や診療科の偏在にどう対応していきますか。
少子高齢化が進む中山間地域や離島の病院にあらゆる専門医をそろえるのは難しいですが、さまざまな合併症を持つ高齢患者に対して、幅広い診療能力を持つ総合診療医が求められています。当院は総合診療医の育成プログラムを有し、島根大医学部などと協力して専攻医を受け入れています。人材をしっかり育て、多くの総合診療医が活躍できる態勢づくりを進めます。

島根県病院局(島根県立中央病院とこころの医療センター)では、県民の命と健康を守ることで世の中に貢献したいと考えている医療従事者を幅広く求めています。チームワークを大切にして人と協力しながら仕事のできる人、常に最新の知識と技術を探求する向上心を持つ人、そして倫理感と責任感を大切にする人を求めています。

山口修平=兵庫県姫路市出身(71歳)
2019年に現職に就任。1979年に京都大学を卒業し、翌年島根医科大学に着任し、脳神経内科医として臨床と研究に従事。1988年にカリフォルニア大学デービス校、2001年にカリフォルニア大学バークレー校に研究留学。2006年から島根大学医学部・教授、2015年から医学部長。専門領域は脳卒中、認知症、認知神経科学。趣味はゴルフ、映画鑑賞。