1980年代の始まりは、70年代を支えてきた立役者たちにも大きな転機となった。81年、東京ドームの前身の後楽園球場で2度公演後、活動を休止したアリスもそんな一組だった。8月31日と11月7日。前者はバンド形式、後者はメンバー3人だけのアコースティックセットである。

 アリスは谷村新司、堀内孝雄、矢沢透の3人組だ。デビューは72年。関西の音楽サークルの知り合いだった谷村、堀内の2人と、プロのドラマーとして活動していた矢沢が組んだ。

 男性2人がソングライター、リードボーカル、アコースティックギターで、もう一人がパーカッションという編成は、当時のフォークグループの中でも異色だった。

 谷村は当時「なぜ堀内と組もうと思ったのか」という筆者の質問に...