未婚の女性皇族
未婚の女性皇族
小室圭さんと眞子さんの結婚記者会見に集まった報道陣=26日午後2時2分、東京都内のホテル
小室圭さんと眞子さんの結婚記者会見に集まった報道陣=26日午後2時2分、東京都内のホテル
未婚の女性皇族 小室圭さんと眞子さんの結婚記者会見に集まった報道陣=26日午後2時2分、東京都内のホテル

 秋篠宮家の長女眞子さまは26日、小室圭さんと結婚し、皇室を離れられた。口頭での質疑応答がない異例の記者会見では「私たちの選択」への共感を求めた一方、小室家の金銭問題を機に生じた疑問を解く新たな言葉はなかった。説明を聞き、2人を快く送り出したかった国民の思いは届いていたのか。天皇や皇族が「私」を抑え、国民に歩み寄ることで成立してきた戦後皇室制度の限界が浮かび上がった。

 結婚前日、記者会見まで24時間を切った25日午後3時すぎだった。「強い不安を払拭(ふっしょく)できず、口頭でのお答えはできない」。秋篠宮家の側近トップ加地隆治皇嗣職大夫が会見の形式変更を伝えると、宮内庁に詰める記者に混乱が広がった。

 「それは会見か」「納得できない」と矢継ぎ早の質問。眞子さんが複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)であることを考慮し「小室さん1人でも」との声も出たが、加地氏は「筋が違う」と取り合わなかった。

 皇室慣例の儀式をせず、一時金も辞退してやっと迎えた晴れの日。民間人として最初の会見は、皇族として最後のけじめをつける機会でもあった。しかし、秋篠宮さまが求めた「多くの人が納得し、喜んでくれている状況」に至らないまま結婚した具体的な理由が肉声で述べられることはなかった。4年近い騒動は約10分で後味の悪い幕引きとなった。

 

 窮屈な場所

 「皇族との結婚だから小室家に迷惑が掛かっている。私のせいだ」。宮内庁関係者は眞子さんが自責の念に駆られていたと語る。会見も「小室さん1人を矢面に立たせるわけにはいかない」と眞子さん自身が望んだ。報道陣の質問が事前に渡って1週間余り。2人が導き出した結論が今回の形式だった。

 眞子さんの元側近は宮内庁の対応に疑問を呈する。「ちゃんと結婚させてあげるために大事な会見だった。こんな不完全燃焼は秋篠宮さまも良く思っているはずがなく、宮内庁は間違っている。眞子さまの言葉で今の皇室への思いを聞きたかった」

 宮内庁幹部は眞子さんの4年間を「あるべき皇室像から外れていると批判され、皇族としての自覚があるからこそ悩みは深かった」と振り返る。だが本音は打ち明けられなかった。結婚前、秋篠宮家関係者はこう明かした。「皇室がいかに生きづらい、窮屈な場所かと訴えられていた。離れることは切実な願いだった」

 

 思い押し通す

 象徴天皇の務めや皇族の在り方は憲法や皇室典範に明示されておらず、皇室と国民が手探りで築き上げてきた。眞子さんも早くから地方訪問や国際親善を重ね、女性皇族の枠にとらわれない活動も続けてきた。

 平成の約30年、上皇ご夫妻は被災地訪問や戦没者慰霊などで各地を回り「国民との距離を縮め、寄り添おうと努力された」(宮内庁関係者)。ご夫妻が象徴天皇制に肉付けした「無私の姿勢」(同庁幹部)が国民の共感や信頼の礎になった。

 眞子さんは正反対の「私」を貫くことを選び、理解を求めた。東洋大の鈴木洋仁研究助手(歴史社会学)は「眞子さんは『私』の思いを押し通し、結婚を成就させた形だ。こうした姿勢が皇室内で続けば、国民の総意に基づく象徴天皇制が内部から崩壊しかねない」と指摘。「皇室を巡る公私の線引きの難しさや、皇族の人権問題など、会見では今後につながる問題提起をしてほしかった」と話した。

 

 皇族数確保 喫緊の課題

 秋篠宮家の長女眞子さんと小室圭さんの結婚を受け、政府は喫緊の課題と位置付ける皇族数確保の検討を急ぐ。制度化に向けた海外の事例調査のため中断している政府の有識者会議を衆院選後に再開し、議論を詰める方針だ。その後、遅れている国会への報告も目指す構えだが、衆院選の結果次第では政権に余裕がなくなり、取りまとめが遅れる可能性もある。

 「菅義偉政権で有識者会議が立ち上げられ、皇族数確保のための方策についても、これまでしっかりと議論が丁寧に重ねられてきた。岸田政権でも有識者会議を引き継ぎ、議論の結果を尊重したい」

 菅前首相の突然の退陣表明に伴う政権交代で課題を引き継いだ松野博一官房長官は26日の記者会見で、有識者会議が7月下旬にまとめた中間整理を評価し、議論の積み重ねを継承する考えを示した。

 中間整理は皇室の現状について「(秋篠宮家の長男)悠仁さま以外の未婚の皇族が全員女性であることを踏まえると、悠仁さまが皇位を継承されたときには、現行制度の下では、悠仁さまの他には皇族がいらっしゃらなくなることが考えられる」と明記し、強い危機感を表明した。

 その上で「当面は皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」として(1)女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする(2)皇族の養子縁組を可能とすることで、皇統に属する男系男子が皇族となるのを可能とする―の2案を提示した。

 皇室典範は、女性皇族が一般男性と結婚した場合、皇籍から離脱すると定めている。眞子さんの結婚で未婚の女性皇族は6人から5人に減る。皇位継承権を持つ男性皇族は秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3人しかいない。政府内では眞子さんの皇籍離脱に伴い、皇室の先細りを懸念する声が一層強まっている。

 天皇退位特例法に関する国会の付帯決議は、2019年4月の法施行後、速やかに安定的な皇位継承を確保するための諸課題や女性宮家の創設などを検討し、国会に報告するよう政府に求めている。既に2年半が経過しており、有識者会議は海外王室の調査・研究がまとまり次第、会議を再開することにしている。

 ただ皇室関連の制度見直しは国論を二分しかねず、国民のコンセンサスを得るのが難しいため、政府内では「踏み込んだ内容にするには安定した政権が不可欠」(内閣官房幹部)との見方が大勢だ。政権の基盤が落ち着かないようでは「とても太刀打ちできない重いテーマ」(同)だからだ。

 さらに来年夏には参院選を控えている。通常国会を延長するのは難しく、国会の日程は窮屈になる。政府側には、選挙の争点になって議論が白熱し、収拾がつかなくなるような展開にはしたくないとの思いもある。早くも「国会への報告については、しかるべきタイミングで考える」(松野官房長官)と予防線を張っており、スケジュールは不透明になっている。